健康食品やダイエット食品の製造・販売の他、減量ジム「ライザップ」の事業展開などで有名なRizapグループ株式会社が運営する24時間ジム「chocoZap(チョコザップ)」に対し、消費者庁が8日、景品表示法の違反行為が認められたとして、措置命令を出した。違反行為として指摘されたのは、サイト上に掲載した広告の優良誤認表示(同法5条1号)とステルスマーケティング告示(ステマ告示)違反(同条第3号)の2事案。
優良誤認については、同社は自社ウェブサイトにおいて、「追加料金なしで全サービスも24時間使い放題!」「ボディメイクや美容ケアはもちろん、リラクゼーションやワーキングスペースも好きな時にご利用可能です!」などと表示。あたかも、各サービスについて、1日24時間のうちいつでも、または好きな時に利用できるかのような表示をしていた。
各サービスの実際の利用時間(消費者庁HPより)
実際には利用できる最大の合計時間数は、「利用できる合計時間数」欄記載の時間数であり、1日24時間好きな時間には利用できなかった。
ステマ告示違反については、同社が広告主として依頼したにもかかわらず、そのことを明かさずに投稿を抜粋するなどして自社サイトに掲載していた。
なぜ広告表記を誤ったのか
【画像】措置命令についての報告とお詫び(Rizapグループ公式HPより)
いずれも、景品表示法では典型的な違反行為といえるものだ。大量に出稿するなどで、広告運用については多くのノウハウを蓄積している同社がなぜ、こうした初歩的といえる違反を犯してしまったのか。同社は公式見解をHP上で次のように明らかにしている。
まず優良誤認について、当該の広告を「chocoZAP の店舗やジムが 24 時間いつでも利用できることをお伝えするものとして表示物を制作しておりました」と説明。各サービスではなく、あくまでも店舗やジムがいつでも利用可能の意味合いだったとした。
そのうえで、サービス一覧の説明箇所では、「24時間ジム」とエステや脱毛などの「各派生サービス」を分けて表示。「予約サービスはメンテンナンス時間あり」と注釈で説明もしていたなどと釈明した。
ステマ告示違反と指摘されたことについては、「全ての投稿に広告であることが明確にわかるよう適切な表示を行っている」と弁明。指摘された事案については、「それらの投稿を抜粋し、自社媒体のウエブサイトに表示していたので、一般消費者にとって広告であると判別できると考えていた」と釈明し、そのため広告であることを示す表記をつけなかったとした。
今回の優良誤認については、chocoZAPが「24時間ジム」ながら、フィットネス以外の多様な派生サービスを有することが広告表示を難しくしたともいえ、今後、利用者を惑わせないためにもより慎重な広告運用が求められそうだ。
ステマ告示については、昨年10月の規制開始当初から、どこからが違反なのかのグレー感がぬぐえず、いまだに「わかりづらい」との声が広告主からも漏れる。今回、同社が釈明したように、「自社広告内なら、広告であることが自明なので表示不要」と判断する広告主の声も一部ではあり、微妙なところではある。
再発防止策は
同社は再発防止策として、「今回の措置命令を厳粛かつ真摯に受け止め、社員教育のさらなる徹底、掲載前の社内審査など、景品表示法をはじめとするコンプライアンス及び管理体制を強化し、適正な広告表示を遵守し信頼回復に努めてまいります」と明かしたうえで、今回の措置命令は広告表示に関するものであり、「商品サービスの品質や安全性とは無関係」とし、安心して利用できることを訴えた。