寝付けない、すぐ目が覚めてしまうなど、最近眠れないのはなぜ?
50代になると増えてくるといわれる不眠の悩みに、医師と専門家が答えます。
この人に伺いました!
太田睡眠科学センター
伊藤洋先生
東京慈恵会医科大学卒業。同大学医学部精神医学講座教授、同大学附属青戸病院(現・葛飾医療センター)院長などを歴任。精神科、睡眠が専門。日本睡眠学会監事(元理事長)。
緑蔭診察所
橋口玲子先生
東邦大学医学部卒。1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を行っている。著書に『新版 医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ出版)などがある。
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂さん
寝具メーカー勤務を経て独立。快眠のための工夫、寝具の選び方など、実践的なアドバイスが好評。最新刊に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)がある。
「睡眠衛生」環境の乱れタイプ
生活リズムや寝室の環境などが不眠の原因になっていることも。
眠れる身体、眠れる環境のための最新情報をお届けします。
睡眠衛生を意識して“快眠度”を上げる!
夜更かしや体が痛くなるような寝具など、睡眠にかかわる基本的な部分に問題があって眠れなくなっていることも。
不眠の治療に長年携わっている伊藤先生によると、「睡眠衛生」が大切だといいます。
「質のよい睡眠を確保するための知識を持ち、生活を改善することです。例えば、日中にしっかり運動をする、30分以上の昼寝をしない、寝室の環境を整えるなどが挙げられます」
快眠セラピストの三橋さんも、「寝具が合わずに腰痛がひどくて眠れない、という人は多いです。
寝具と寝室を見直してみてください。眠れないときには、心身の緊張を緩める軽い運動をするのもおすすめです」と話します。
それでも改善しない場合は、何らかの病気が原因の可能性もあります。
「女性は閉経後に、睡眠時無呼吸症候群が増えます。睡眠中に一時的に呼吸が止まるので、熟睡感が得られません。日中の倦怠感や眠気が強いようでしたら、しかるべき医療機関への受診をしてください」と伊藤先生。
不眠の原因はさまざまなので、素人判断をしないことも大切です。
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「睡眠衛生」を意識する5つのキーワード
1. 起床時間を厳守する
「23時までには寝る!」と就寝時間を決める人が多いのですが、「起床時間を決めるほうが体内リズムが整います。
朝7時に起きると決めて、8時間寝たい人は23時に、7時間で足りるなら0時に就寝というように考えましょう」と伊藤先生。
朝の光を浴びることは不眠の改善に重要で、光によって体内時計がリセットされ、夜になるとメラトニンなどが分泌されて、眠くなります。
その睡眠リズムを崩さないためにも、起床時間を守ることが大切なのです。
こんなアプリも!
習慣化や目標達成に役立つアプリ「みんチャレ」。5人1組で挑戦します。
「起床時間を守るには、やはり就寝時間を意識することが大切。そこで習慣化アプリを使ってみるのもおすすめです。ゲーム感覚で取り組めるので楽しいですよ(三橋先生)」
2. 寝具の上に居る時間を7時間程度に
伊藤先生は「眠れなくても何時間でもふとんに入っていると、寝られないことに意識が集中してより眠れなくなります。眠れない場合は一旦寝室を出て本を読むなど、寝具の上に居る時間=『床上時間』を7時間程度に」とのこと。
さらに三橋さんは「筋弛緩法」をおすすめ。「気持ちがゆったりして、だんだん眠くなってきます」(三橋さん)
寝れないときに試してみましょう「筋弛緩法」
1
イスに浅く、膝を直角に曲げて座る。足は腰幅に広げる。
2
手をグーにしてゆっくり10秒間、力をこめる。
3
手をストンと力を抜いて、ゆっくり20秒数える
4
手をパーにして10秒力をいれ、20秒力を抜く。
5
肩を耳のほうに上げて10秒力をいれ、20秒力を抜く。
6
脇をしめながら両腕に10秒力をいれ、20秒力を抜く。
7
イスに深く腰掛け、かかとを押し出しながら足先を体側に向け、ふくらはぎに10秒力を入れ、20秒力を抜く。
8
⑦と同じ状態にし、腕、顔にも全身に力を入れ10秒数える。20秒力を抜く。
ノーベル賞候補!?
最新研究によるすごい睡眠薬を利用する
「睡眠薬の依存性を気にする人もいますが、近年ではオレキシン受容体拮抗薬という依存性のない薬もあります。
このオレキシンを発見した柳沢正史先生は、ノーベル賞候補といわれています」と伊藤先生。
不眠がつらいときは、受診をしたうえで睡眠薬に頼るのも手。
オレキシンの発見で、画期的な睡眠薬が誕生
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長、柳沢正史教授(写真左)は、1990年代に睡眠にかかわる神経伝達物質のオレキシンを発見、それが新しい睡眠薬の開発につながりました。
熱帯夜にはエアコンを一晩中つけておく
「“冷房をつけっぱなしにしているのは体に悪い”という考えから、就寝時だけ冷房をつけている人が多いようですが、これでは夜間に寝汗をかいて目が覚めてしまいます。熱帯夜には自分にとって最適な室温を見つけて、冷房を一晩中つけておきましょう」(三橋さん)。
体にかける寝具とエアコンの設定温度で体感温度を調整するのも一手だそう。
エアコンの温度
タオルケットなら…… 27~28℃程度
薄手の肌掛け布団なら…… 25~26℃程度
編集部発!このアイテム、注目しています
熱帯夜対策に!サラッと爽やかに眠れる2アイテム
肌にベタつかず、軽く、蒸れにくい、夏向きの寝具。
心地よい肌触りで、冷房の冷えからも守ってくれます。洗濯しやすく干しやすいのも◎。
空気が流れる特殊構造のケットで、サラサラ生地とニットワッフル生地のリバーシブル仕様。 「サラフロー 爽ブリーズ®ケット」¥14,300/nishikawa
熱を逃がす素材が快適な体感温度をキープ。ハンガー2本で干せる設計も◎。
「サラフロー 速乾「干すらく®」敷きパッド」シングル¥11,000/nishikawa
寝具を見直す
身体に合わない寝具は、腰痛や肩こり、首こりなどを引き起こし、眠りの質を大きく下げてしまいます。「マットレスは体が沈みこまず、硬すぎないものが理想的。
また、いくら良いものでもヘタっているなら買い替えを。一般的に、マットレスは7~10年、枕は3~5年使ったら見直しましょう」と三橋さん。
マットレスはコイルの上の詰め物が薄いものを選んで
コイルの上の詰め物がヘタりやすいので、あえて薄いものを選びます。
その上にトッパーとパットを敷き、トッパーがヘタってきたら交換すれば、マットレス自体は長く使えます。
枕とマットレスは一緒に選ぶ
寝ているときに身体を理想的な姿勢を保つには、枕とマットレスの相性も大事。
できれば、同時に選びましょう。
ここがおすすめ!
全国101店舗で睡眠全般を相談できるnishikawa「ねむりの相談所」
寝具メーカー「nisikawa」の「ねむりの相談所」は、ライトなコンテンツから本格的な睡眠計測まで幅広い相談メニューも魅力。
寝具に加えキャンドルやハーブティーも提案! 銀座三越「Good sleep tour」
枕やマットレスをはじめとした様々な寝具ブランドのアイテムをツアー形式で体験できる。
https://www.mistore.jp/store/ginza/service/Goodsleeptour.html
“最強の睡眠”に出合える昭和西川「ムアツスリープラボ本店」
スリープスタイリストによる睡眠カウンセリングと、独自に開発したボディフィッティングシステムで、“最強の睡眠”を提案。
https://mua tsu.net/reservation/
photograph: PIXTA illustration: Saioko Shiiki text: Keiko Nakayama
大人のおしゃれ手帖2024年8月号より抜粋
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