スマホがある生活がスタンダードとなった現代人は、情報の波にのまれマルチタスクばかりをこなしている。そんな多忙なマインドと心をリセットできると話題の瞑想とは? 俳優のMEGUMIさんや高橋メアリージュンさんも通う瞑想スタジオ『suwaru』でニーマルメソッド®認定講師として活躍する篠田るみさんに、瞑想が仕事や人間関係に影響を与える理由や、瞑想を習慣化するコツについて深掘りした。
「今」に集中する力によってどんな感情も俯瞰できるように
──習慣化するためには、どれくらいの頻度で瞑想をするのがよいのでしょうか?
平日はやらずに、週末にまとめて瞑想するとします。これでは、あまり意味がないんです。毎日やることが重要で。筋トレと同じなんですよ。
筋トレも、YouTubeを見てみたり本を読んだりして筋肉をトレーニングする秘訣(ひけつ)を学びますよね。でもそれで終わってしまったら、体は変わりません。週に2、3回ほど定期的にジムに通って、同じ練習をし続けます。3か月くらい経ってようやく体の変化が出てきますが、瞑想も全く同じです。筋トレと同じで、やっただけ集中力や平穏さがついてきます。瞑想は「脳の筋トレ」なんです。
短い時間でもいいので毎日やると、「意識した時に、余計な思考がこない脳」を作っていけます。ですので、週末に1時間瞑想するよりも、毎日5分でもルーティン化した方がいいでしょう。
朝起きた後、夕方家に帰ってきてから、夜眠る前、この3つの時間帯に瞑想をする人が多いですね。毎日同じ時間帯に5分や10分など短い時間から始めて、まずは習慣化することが大事です。
ニーマル氏の瞑想レッスン
──「瞑想をすると人間関係が変化する」と耳にします。瞑想をして余計な思考がこない集中できる脳にすることと、対人関係が好転することは、全く別のプロセスのように思えるのですが……
私たちは1日に6万回の思考をしているとハーバード大学の研究では言われています。その思考の80パーセントは、昨日と全く同じ思考だそう。思考の80パーセントは、過去や未来についてなんです。すでに終わったこと、もしくは先のことをあれこれ考えていること、ありますよね。
私たちは「自動運転モード」と呼んでいるのですが、そうやって無意識のまま考えている状態で1日のほとんどを過ごしています。逆に、目の前にある「今」この瞬間に集中して思考を働かせている時間は、20パーセント以下だと言われています。
瞑想をして「今」この瞬間に集中できるようになると、過去や未来への思考を切り離す力が養われていきます。そうすると「すでに終わったことを考えるループに入っていて、また心が乱されている」とか、「今自分は怒っている状態なんだ」と、無意識のうちに出てきてしまう自分のネガティブな感情に気づけるようになります。瞑想は、いわば「気づき」のトレーニングなんです。
気づけるようになると、「目の前の人に対して、今感情的にイライラしても何も解決しないから場所を変えよう」とか、「深呼吸して意識を変えよう」など、次第にストレスから自分を遠ざける選択ができるようになっていきます。
瞑想をして、変えられるのは自分だけ。他人を変えることはできません。他者からの言葉や外からの情報など、外からの刺激に振り回されがちですが、自分にストレスを与え、苦しめていた根源が自分の思考のパターンや捉え方であったことに気づければ、自ずと仕事や人間関係にも変化が出てきますよ。
text: Akiko Yoshida photo: Tomoko Hagimoto
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