男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「デートはするけど、発展しない…」38歳経営者が、食事中に犯している致命的ミスとは
花音とマッチングして、アプリ恒例である初回の“お茶の儀礼”を無事に通過した。
そして、二度目のデートの今日は、楽しいディナーデートとなるはずだった。
しかし食事の中盤あたりから、花音は、急に頻繁にスマホをチェックし始めた。
そして食事が終わり、一応2軒目のお伺いを立てたところ、やんわりと「明日早いので…またすぐに」と断られてしまった。
33歳ともなると、女性の社交辞令くらいわかる。
「わかった。じゃあまたね」
そう言って解散したものの、心の中で「きっと次はないんだろうな」と僕はなんとなく悟った…。
Q1:マッチ後の初デート。女心を掴んだ言動は?
都内で事務職をしている花音は、とにかく顔が可愛かった。そして年齢も29歳と僕と近く、マッチングアプリで彼女を見つけた時、直感でいいなと思った。
ただ人気が高そうなので、「いいね」を送ってみたものの期待はしていなかった。しかし意外にも花音も「いいね」を返してくれて、僕たちはチャットを開始することになる。
慶應卒で年収2,000万、身長180cmなので、僕のプロフィールも悪くないほうだったのかもしれない。
何度かアプリ内でやり取りをして2週間後、「セルリアンタワー東急ホテル」のロビーラウンジ『ガーデンラウンジ 坐忘』で落ち合うことになった。
「洸平さん、ですよね。初めまして」
待ち合わせ場所に少し遅れてやってきた花音は、想像より小柄で、「写真よりさらに可愛いな」という印象だった。
「初めまして。花音さん、想像より小さいんですね」
「そうなんです。よく『背高そう』と言われるのですが、実際は全然。身長低くても大丈夫ですか?」
「もちろんです!可愛いじゃないですか」
「洸平さんは、大きいですね」
「僕は逆に180cmくらいあって…」
花音の雰囲気が柔らかくて話しやすかったこともあり、マッチングアプリ特有の“お茶の儀式”は、スムーズにスタートした。
最初から食事派もいるが、お互いの時間を無駄にしなくて済むから、僕はまずは軽くお茶をしてから先に進めたい派だ。
「花音さんの職場は、どちらになるんですか?」
「私は大手町になります。総合商社で一般職をしていて…」
「そうだったんですね!プロフィールに“事務職”と書かれていたので、ちょっと気になって」
「洸平さんは、何をされているんですか?」
「僕はコンサルです」
そんな話をしているうちに、当初予定していた1時間はあっという間に過ぎていく。
本当は「結婚願望ありますか?」などの踏み込んだ質問もしたかったが、初回で聞くのはNGかもしれないと思いとどまった。
しかしそのタイミングで、花音のほうが尋ねてくる。
「あの…初回でストレート過ぎるのかもしれませんが、洸平さん、結婚願望はありますか?」
ここは、誠意の見せ所だろう。
今すぐに結婚というわけではないけれど、次に交際する女性とは、年齢的にも結婚はセットだと考えている。
「もちろんあります!次に付き合う方とは、結婚したいなと思っています。遊びで登録していたわけではないですし、真剣に出会いを探しています」
するとこの答えが正解だったのか、花音は思いっきり笑顔を僕に向けてきた。
「そうなんですね!良かった」
彼女の表情から、僕は次に繋がったことを確信する。その証として、解散する前に、もう次の約束が決まっていた。
Q2:女がスマホをいじり始めた理由は?
初回はお茶だったけれど、好感触だったし僕なりに真剣交際へ進めたいとも思ったので、二度目は虎ノ門にあるイタリアンを予約した。
より彼女のことを深く知りたいと思っていたので、必然的に乾杯と同時に会話のボリュームは大きくなる。
「花音さんモテそうなのに、どうしてアプリを始めたんですか?」
「最近、彼氏と別れまして…。洸平さんは?」
「僕は友人に勧められて。それに条件である程度絞れるので、効率がいいなと思ったんです」
「どんな条件で絞ったんですか?」
「年齢と、あとはタバコを吸わない、ある程度の大学卒業…とかですかね。そんなに厳しく設定していたわけではないですけど」
大人の恋愛に、時間はない。
マッチングアプリの最大の利点は、先にフィルターをかけられることだと思う。無駄な食事会へ100回行くよりも、よっぽど効率が良い。
「わかります。便利ですよね、アプリは」
「そうなんですよ。ちなみに、花音さんってタバコは吸わないですよね?」
「はい、吸わないです」
「良かった。僕、タバコ吸う人と酒にだらしない人が本当にNGで」
この先付き合うとなると、非喫煙者の女性がいい。これは別に望み過ぎる条件ではないと思う。
「お酒にだらしないって、どの程度のことですか?」
「例えば、酔うとやたらと距離が近くなったり?あとは人に迷惑をかけたり。あれをされると、急に冷めちゃうんですよね…」
「まぁ酒癖が悪い人はみんな嫌いですよね」
うんうんと花音がうなずいたので、彼女は酒癖が悪くないだろう、と僕は安心する。
「あと束縛が強い人もだめかもです」
「どうしてですか?」
「会食もありますし、友人との付き合いも縛られるのは辛いなと」
「束縛は嫌ですよね」
こうして、お互いの好みのタイプや苦手な人などを教え合った。食事も美味しかったし、途中までは楽しんでいたように思う。
しかし後半になると、花音がやたらとスマホを気にし始めたのだ。
「仕事ですか?出てもらって大丈夫ですよ」
「いえ、大丈夫です」
そう言ったものの、花音は誰かとLINEをしているのか、ずっとスマホを気にしている。
「ちなみに花音さんは、どうして前の彼と別れたんですか?」
すると少し考え込んでしまった花音。
「うーん…。難しいですよね。一言では説明できないのですが、いろいろあって。洸平さんは?」
「僕は同棲を開始したら、相手の嫌な部分がたくさん見えてきてしまって。出会った時がピークで好きだったな、と」
「うわぁ、それ難しい問題ですよね!」
一瞬この話では盛り上がったものの、結局、後半から急にトーンダウンしていった僕たちのデートは食事が終わった途端に終了となった。
― 2回目なのにズカズカ話を聞き過ぎたかな?
そう思ったが、お互いのことを知るためには必要な質問だったと思う。
では、どうして花音はテンションが下がったのだろうか。そして食事中花音は、誰とやり取りをしていたのだろうか…。
▶前回:「デートはするけど、発展しない…」38歳経営者が、食事中に犯している致命的ミスとは
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:8月25日 日曜更新予定
女がデート中、スマホをいじっていた理由は…