あおり運転してきた“ヤンキーみたいな”若者が自爆事故。溝にハマって、警察に逮捕されるまで――仰天ニュース傑作選

過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年10月4日 記事は取材時の状況) *  *  *

 ここ数年、ニュースなどで頻繁に取り上げられている「あおり運転」。20年6月には改正道路交通法が施行され、以前よりも厳しく罰せられるようになったが、激減しているとは言い難い。

 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険が8月に発表した『2023年あおり運転実態調査』によると、煽り運転をされたことがあるドライバーは53.5%。最初に調査を行った18年(70.4%)に比べれば改善しているが、前回調査の22年(51.3%)よりは悪化している。つまり、半数弱の人が被害経験を持つわけだ。

 あおり運転の被害者は後を絶たない。今回は、「あおり運転」の被害者となってしまった2人のエピソードを紹介する。

◆“ヤンキーみたいな”男たちが併走してきて…

 友人とドライブに出かけた際に、あおり運転に遭遇したという木田裕也さん(仮名・20代)。 木田さんは高速道路の左車線を走っていたが……。

「突如、後ろから迫ってくる車が現れ、私たちの車に近づいてきたんです。最初はただ急いでいるのかと思ったのですが、どうやら違うと気づきました。その車は、追い抜くのではなく、明らかに僕たちの車に向けてハイビームをしてきたり、クラクションを鳴らしてきたんです。つまり、後ろから煽ってきている状態です。

 車はセダンで、ガタイのいい“ヤンキーみたいな”若い男たちが乗っていました。しばらくすると、私たちの車の隣で併走してきて、窓を開けて挑発的なジェスチャーをしながら、よくわからない言葉を浴びせてきました。友人が窓を閉め、無視しようとしたのですが……」

◆狙われた理由は「ノロノロ走っていたから」

 車の運転手は、なぜか激怒している様子で、ますます危険な状況になっていたと木田さんは話す。

「私たちは怖くなって警察に通報しました。友人が事情を説明し、自分たちの車と、煽ってくる車のナンバーを伝えました。すると、すぐに対応してくれることになって、現場への到着を待つように指示されたので、車を路肩に停めることにしたのですが……」

 ここで相手の車に異変が起こる……。

「勝手に道路脇の溝にハマってしまったようです。そのおかげで、彼らがこちらの車に迫ってくることはありませんでした。こう言ってはなんですが、ホッとしましたね。私たちは、彼らが慌てる様子を少し離れた場所から見ていました。しばらくすると、警察が到着したので事情を話しました」

 木田さんたちの車が狙われた理由は、「ノロノロ走っていたから」だったというが、警察の計らいもあり、木田さんと友人はすぐに帰宅することができたそうだ。

「結局、相手はあおり運転で逮捕されました。事故に巻き込まれなくて本当によかったと思います。この出来事から、あおり運転がどれほど危険なのかを再認識しました」

◆後ろからピッタリとくっついてくる

 山田真奈さん(仮名・40代)は、子どもの保育園への送迎のため、毎日利用している道があり、いつものように車を走らせていた。そこは“抜け道”として使われることが多く、地元の人が多い印象だったそうだ。

「その日は、小雨が降っていました。いつも通りお迎えに行こうと走っていたところ、後ろから赤い車が長い間ピッタリとくっついてきていたんです。いつもなら、車を左に寄せて、抜かしてもらうのですが、反対車線から来る対向車も多く、道が混み合っていたためにできませんでした」

 カーブにさしかかり山田さんがハンドルに集中していると、突然、猛スピードで後ろの車が抜かしてきたという。山田さんは思わず「わっ!」と声を上げた。そして、信じられない光景を目の当たりにする。

◆サイドミラーが大破…


「私の車の右のサイドミラーにぶつかって、“バキッ!”という音とともにミラーの破片がはるか遠くに吹っ飛んでいきました。すぐにその場に停車すると、相手の車も止まりました」

 サイドミラーは折れ曲がり、導線のようなものが剥き出しになっていたそうだ。山田さんは突然の出来事で心臓がバクバクし、軽いパニック状態になったと話す。

「“相手はどんな人なのかな、どうなったのかな”と思いつつも、顔をあわせるのが嫌だなって。少し落ち着いたところで意を決して、車を降りて相手に近寄ってみたのですが……なんと運転手は、あまり日本語の通じない外国人だったんです。威嚇のようなことはされませんでしたが、たどたどしい日本語で何か言っていましたが、よくわかりませんでした」

 結局、山田さんが警察に連絡をすることになった。

「こちらのドライブレコーダーを確認すると、相手が100%悪いということで。サイドミラーの修理代もかからず、私も相手も怪我はありませんでしたが、子どものお迎えには遅れてしまいましたね……」

 その後、山田さんは事故のショックで「その道が怖くなった」と言い、今も通れずにいる。

 あおり運転は、誰にでも遭遇する可能性があるものだが、今回紹介したケースのように「交通事故」に発展してしまうことも……。もしも煽られてしまっても慌てずに対処してほしい。“自分を守る”意味でも今やドライブレコーダーは必須と言えるかもしれない。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】

2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。