瞑想とは目を閉じてただ座っているだけと思ったら大間違い。自己流で瞑想をしてみると、「今」に集中するのは意外と難しいものだと分かる。瞑想スタジオ『suwaru』で講師を務める篠田るみさんに、初心者にも挑戦しやすい呼吸に集中して行う「パーナアパーナ瞑想」や、オフィスや電車内でもできる瞑想について教わった。
呼吸に集中する基本の「パーナアパーナ瞑想」をマスター
1.楽な姿勢で座ったら、尾骨から頭の先まで一直線にするイメージで姿勢を正します。肩の力は抜いて胸を張ります。手は「ギャン・ムドラ」という形の手印を作ります。
親指と人差し指で輪を作り、残り3本の指は伸ばして「ギャン・ムドラー」を作る
2.あごは床と平行になるくらいに上げ目を閉じます。まずは「オープンモニタリング」といって、3分間ほど自分の体、マインド、心の状態を観察していきます。
体は下から上、左から右に向かって全ての部位を観察していく
3.「片鼻呼吸」を行います。親指で右鼻を押さえたら左の鼻から吸って、一度左の鼻を押さえて右の鼻から吐いていきます。次は右の鼻から吸って、右の鼻を押さえて左の鼻から吐きます。これを7分間繰り返します。
人差し指と中指を折り曲げて、親指の付け根に指を当てる。親指、薬指、小指はまっすぐ伸ばす
この呼吸によって副交感神経と交感神経に交互に働きかけて、自律神経が一番良い状態に整えられます。思考の数も減ってリラックスモードになり、瞑想に入っていきます。
4.手は再び「ギャン・ムドラ」を作り、呼吸に意識を集中していきます。鼻から大きく息を吸い、空気が鼻先から入って、眉間の間、喉を通って肺の奥に入っていきます。吐く息は肺の奥底から喉、眉間の間を通り、鼻先へ抜けていきます。呼吸の流れに集中して2〜3分ほど集中していきます。
1本の細い糸が、鼻先から額、喉、肺を通って、出たり入ったりしていく様子をイメージしながら行う
5.意識的な深い呼吸をやめて、体が自分のペースで行う自然な呼吸に戻していきます。鼻先から入る空気、鼻先から出ていく空気に意識を集中させていきます。
6.瞑想が終わったら、鼻から大きく息を吸って胸を膨らませ、ゆっくり丁寧に息を吐いていきます。目は閉じたまま、瞑想を終えたあとの体、マインド、心の状態を観察していきます。
7.手のひらを擦って温めたらまぶたに当て、顔全体を優しくマッサージします。再びまぶたに手を当てて口角を上げて、手のひらをゆっくりと遠ざけながら目を開いていきます。
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椅子に座ってもできる「パーナアパーナ瞑想」
──オフィスや移動中でも座りながら瞑想はできますか?
椅子に座りながらでもできます。重要なのは「背筋が伸びている」こと。背骨をまっすぐにさえできれば、椅子やソファに座っていてもできます。上記の呼吸に集中する「パーナアパーナ瞑想」は、特に道具なども必要なく、どこでもできるものなのでおすすめです。
── 瞑想のやり方はどのくらい種類があるのですか?
語りきれないくらい、いろんな種類がありますね。目を閉じてやることが多いですが、目を開けてキャンドルの炎を見つめる瞑想もあります。呼吸に集中するだけでは雑念が浮かんで難しいという場合は、ヨガでいう「シャバアサナ」というポーズで仰向けになってする瞑想もありますよ。
山や海など自然の中を旅しているようなイメージに意識を集中する瞑想や、心の中に咲く蓮の花をイメージしたり、心の中で朝日が昇るシーンをイメージしたりする瞑想も。やり方は数百種類もあると言われています。
── 瞑想がより効果的になるやり方はありますか?
瞑想が終わった後に、瞑想日記をつけてもらうことをおすすめしています。今日は瞑想中にこんな雑念があったとか、瞑想が終わった後にこんなポジティブな体感があったとか、今日は集中できなかったとか。記録を残していくと、自分の雑念のパターンや思考の癖に気づくことができます。
──瞑想をする前にスイッチを入れるコツは?
直前まで仕事のことなどを考えて頭が忙しいと、急に座って瞑想をするのはなかなか難しいもの。リラックスモードに切り替えるために、温かいハーブティーや白湯を飲んだり、音楽を聴いたり、アロマを嗅いだりしてもいいかもしれません。
しかし、音楽を聴きながらアロマの香りを嗅ぎながら瞑想をするのは、外側に意識が引っ張られてしまうのでNG。厳密に言うと、それは瞑想ではなくマインドフルになります。
瞑想用の服を決めたら、着替えるだけで「よし、やろう」というスイッチが入るのでおすすめですね。私はお香を使っています。朝に瞑想することが多いのですが、起きたらまず窓を開けて空気を入れ替え、お気に入りのお香を焚いてから瞑想すると、朝のフレッシュな空気が入ってきて気持ちよい1日のスタートができますよ。
text: Akiko Yoshida photo: Tomoko Hagimoto
瞑想は「脳の筋トレ」。使った分きちんと休ませて自分と向き合う時間が、人生にもたらすもの
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