②がけ地

がけ地とは傾斜が急なため宅地の利用が難しい土地のことです。建築基準法施行条例では、30度以上の傾斜がある土地をがけ地としています。

山などの斜面を切り開いて宅地開発された土地では、平たんな建物敷地部分と、擁壁などのがけ地部分を併せ持っていることがよくあります。

平たんな部分を多くするため、がけ地部分は急斜面になっていることが多いのですが、当然のことながら、がけ地部分は用途が極端に限られてしまいます。

そこで相続した土地が路線価地域に存在する「がけ地等を有する宅地」の場合、路線価にがけ地補正率をかけて路線価の減額補正を行い、相続税評価額を算出します。

(広告の後にも続きます)

③不整形地

不整形地とは、正方形や長方形以外の形の、整っていない土地のことをいいます。たとえば土地の隅にあたる部分が欠けている「隅切り地」や、三角形をした「三角地」、敷地への入り口が細くて比較的長く、旗竿のような形状の「旗竿地」の他、斜線が含まれた土地や境界が一直線でなくギザギザしているものなども「不整形地」となります。

[図表1]不整形地の例

こうした整っていない形の土地は、先祖代々受け継がれてきたような古い土地に多く見られます。

不整形地は正方形や長方形の土地に比べて、建物が建てにくかったり駐車スペースが取りにくかったりといったデメリットがあります。

土地を有効に活用できない部分が出てくるのを評価額に反映させるため、「不整形地補正率」が定められています。

これによって同じ立地、同じ広さの正方形や長方形などの使い勝手のいい土地よりも、評価額を抑えることができる仕組みになっています。

ちなみに、不整形地の評価方法には次のようなものがあります。わかりやすくするため、ごく簡潔に原則部分だけを説明します。とはいえ、専門的な話ではありますので、関係のない方は読み飛ばしていただいてもかまいません。

【1. 整形地に区分して評価する方法】

不整形地を整形地(正方形や長方形)に区分して計算する方法です。たとえば図表2のような土地は、甲地、乙地、丙地の3つの整形地に区分して評価し、その総和を求め不整形地補正率をかけて算定します。不整形地補正率は国税庁のホームページで確認することができます。

[図表2]不整形地の評価方法

【2. 計算上の奥行距離を使う方法】

図表3のような土地は「不整形地÷間口距離」で割って求めた「計算上の奥行距離」を基にして土地の価格を算出します。

「計算上の奥行距離」と「想定整形地(不整形地の全域を囲む正面路線に面するく形又は正方形の土地)の奥行距離」のうち、小さいほうを算定基準に使い、不整形地補正率をかけて算出します。

[図表3]計算上の奥行距離を使う方法

【3. 近似整形地を使う方法】

図表4のような土地は、その土地とおおむね地積が等しくなる整形地(近似整形地)を求めます。内側の点線分が近似整形地となります。近似整形地の奥行距離を算定基準に使い、不整形地補正率をかけて算出します。

[図表4]近似整形地を使う方法

【4. 差し引き計算をする方法】

評価の対象となる不整形地から求めた近似整形地と「隣接する整形地」を合わせた整形地の価額から、隣接する整形地の価額を差し引いた価額をその不整形地の地積で割った1m2あたりの単価に不整形地補正率をかけて算出します。

図表5に挙げた形状の不整形地に適した評価方法です。

[図表5]差し引き計算をする方法

◆不整形地補正率を使わない評価方法も

ご紹介した4つの評価方法ではすべて不整形地補正率を使用していますが、必ずしもすべての不整形地にこの補正率が使用されるわけではありません。

L字型の旗竿地などのような不整形地の場合、間口狭小補正率と奥行長大補正率という補正率を使って計算することもあります。

◆有利な補正率を選択できる

不整形地補正率と奥行長大補正率が適用できる場合、それぞれの補正率と間口狭小補正率をかけて計算したのちに比較して、有利なほうを選択することができます。