Wikipediaでの誹謗中傷への削除請求以外の対応

Wikipediaで誹謗中傷などの被害に遭った場合、削除請求だけでは不十分であることが多いでしょう。なぜなら、せっかく削除が認められても、投稿者になんら制裁が課されなければまた同様の書き込みがなされ、いたちごっことなる可能性が高いためです。

そこで、Wikipediaへの投稿に削除請求をする際は、削除の請求と併せて他の法的措置も講じるという選択肢があります。ここでは、削除請求以外の主な法的措置について解説します。

開示請求

開示請求とは、投稿者が誰であるのか身元を特定する手続きです。投稿者に対して損害賠償請求をしたり投稿者を刑事告訴したりする際は、多くの場合相手の身元がわかっていなければなりません。そこで、損害賠償請求や刑事告訴の準備段階として、開示請求をすることも相当数あります。

一般的なインターネット上で誹謗中傷がなされた際の開示請求は、原則として次の二段階で行います。

1.誹謗中傷の舞台となったSNSやインターネット掲示板の運営社に開示を請求し、投稿のIPアドレスとタイムスタンプなどの情報を入手する

2.1で得た情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダに開示を請求し、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報を入手する

開示請求は誹謗中傷問題への対応に強い弁護士へ相談するようにしてください。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、相手の不法行為(Wikipediaへの誹謗中傷記事の投稿)によって被った損害を金銭で賠償するよう、相手に対して求めることです。

損害賠償請求ははじめから裁判上で行うのではなく、開示請求によって判明した住所宛に、まずは弁護士から書面を送るなどして行うことが一般的です。この段階で相手が反省して請求した示談金を支払う場合は、多くの場合示談書を作成のうえ事件は終結します。示談書には、「以後誹謗中傷を行わない」旨の条項など、金銭支払い以外の事項も記載します。

一方、相手が請求を無視したり不誠実な態度をとったりする場合は、裁判上での損害賠償請求へと移行します。裁判へ移行すると、諸般の事情を考慮のうえ、裁判所が損害賠償請求の可否や賠償額を決定します。相手は、裁判で決まった賠償額を支払わなければなりません。また、これを支払わない場合は、強制執行の対象となります。

刑事告訴

Wikipediaで誹謗中傷を行った場合は、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などに該当し、刑事罰の対象となる可能性があります。しかし、これらはいずれも被害者からの告訴がなければ犯人に罪を問うことができない「親告罪」とされています。

そのため、被害者が刑事告訴をしなければなりません。刑事告訴とは、警察などの捜査機関に対して犯罪行為を申告し、犯人の処罰を求める意思を表示することです。刑事告訴が受理されると警察などによって捜査が開始され、必要に応じて犯人が逮捕されます。その後、検察官により、起訴か、不起訴が決定されます。

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Wikipediaの削除請求を弁護士へ依頼するメリット

Wikipediaの投稿について削除請求をしたい場合は、弁護士へ依頼しましょう。最後に、削除請求を弁護士に依頼する主なメリットを3つ解説します。

削除請求が認められやすくなる可能性がある

1つ目は、削除請求が認められやすくなることです。

法的な根拠を自分で調べて効果的な主張を自分で行うことは容易ではないでしょう。弁護士へ対応を依頼することで、効果的かつ論理的な主張が可能となり、削除請求が認められやすくなる可能性があります。

開示請求や損害賠償請求などの対応もできる

2つ目は、開示請求や損害賠償請求などの対応も任せられることです。

先ほど解説したように、Wikipediaで誹謗中傷の被害に遭った場合は削除請求だけでは不十分です。削除請求をする場合であっても、これと併せて開示請求や損害賠償請求などの法的措置を講じることをおすすめします。なぜなら、削除請求をしただけでは、同じような内容がまた書きこまれるおそれがあるためです。相手に対して損害賠償請求などの法的措置を講じることで、その後の誹謗中傷の抑止力ともなるでしょう。

しかし、開示請求を行うには、法令や裁判手続に関する知識が必要です。また、ログの保存期間内(プロバイダによって異なり、3ヵ月から6ヵ月程度)に手続きを行う必要があり、じっくり調べるほどの時間的猶予はありません。

自分で損害賠償請求をするには、相手と直接対峙する必要があるほか、自身の連絡先を相手に知らせることなります。そのため、損害賠償請求を自分で行うことは現実的ではないでしょう。

弁護士へ依頼する場合は、開示請求や損害賠償請求についても対応を任せることが可能となります。

削除請求が可能かどうか事前に想定しやすくなる

3つ目は、削除請求や開示請求が認められる可能性があるかどうか、あらかじめ想定しやすくなることです。

Wikipediaに都合の悪い内容が書き込まれたからといって、必ずしも裁判上での削除請求や開示請求が認められるとは限りません。裁判上での削除請求や開示請求が認められるには、その投稿によって権利侵害があると判断される必要があります。そのため、権利侵害がないにも関わらず削除請求や開示請求をした場合は、削除や開示が認められず、手間と時間だけを要してしまうこととなりかねません。

弁護士へ依頼する場合は、そのケースにおいて削除請求や開示請求が認められそうかどうか、あらかじめ想定することが可能となります。