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●料理のおいしさを格段にアップさせる優秀な調理道具。専門店がおすすめする、機能性と品質、使いやすさも備わった調理道具とは?
鍋やフライパンといった調理道具は料理をつくるための重要な調理器具。同じレシピでも使う道具の素材や形状、使い方によって仕上がりが大きく変わるので、おいしい料理が作れる理想的な道具を見つけたいですよね。
「おすすめの万能包丁」に続き、日本最大級の調理器具・厨房用品専門が揃うかっぱ橋道具街にある老舗調理器具専門店『釜浅商店』(東京・浅草)の齋藤あゆみさんに、料理のおいしさを引き出す、品質と使い勝手の良さを兼ね備えた調理道具を教えてもらいました。
汁物から煮物まで幅広く使える、熱伝導に優れた老舗鍋工房の「行平鍋」
大正13年創業の鍋工房『姫野作.』の三代目・姫野寿一さんが1つ1つ手打ちで作る「姫野作.本手打ちアルミ行平鍋」
「とりあえずこの調理道具が1つあれば……ということなら、まずは行平鍋があると便利です!」と齋藤さん。取手が付いた行平鍋は機能性が高くサイズも豊富で、ミルクパンから煮込みまで幅広く使える、オールマイティな鍋なのだそう。
「当店で扱う大阪の鍋工房『姫野作.』の行平鍋は1つ1つ手打ちで作られているので、場所によって槌目(つちめ)の大きさが違います。その表面の広さで熱伝導率が上って熱が均一に食材に伝わり、お味噌汁はもちろん、炒め物にも適しています。3mm厚手のアルミを使用しているので、蓄熱性にも優れ煮物料理も味がしみ込み、均一に熱が伝わります」(齋藤さん、以下同じ)
行平鍋は通常だと5寸(15cm)、6寸(18cm)、7寸(21cm)というサイズのところ、『釜浅商店』では6.5寸(19.5cm)というオリジナルのサイズも用意。このサイズはかなり使い勝手がいいと言います。
行平鍋は、汁物や茹で物のほか、ソースや煮込み料理にも使える万能な片手鍋
「7寸だと少し大き過ぎるけれど高さは欲しい、ということで6.5寸の少し深型を作っていただいています。これが何にでも使える絶妙なサイズ感で、煮る、茹でる、炒める、炒め煮もしやすいですね。注ぎ口は通常どちらか1つのところ、これは両口なところも便利です」
スタッキングできる「やっとこ鍋」
また、取手の無い「やっとこ鍋」は、行平鍋と同じ用途を持ちながらスタッキングしてすっきりと仕舞えるだけでなく、例えば麺を茹でて冷やしたらそのまま器代わりにも。
「もちろんアルミだけでなく、ステンレス製でも器として活用でき、ボウルにもなるので使い方は幅広いです。蓋にも手打ちのものがありますが、お手持ちの蓋があればそれでも全く構いません。ただ、鍋やフライパンの本体だけを買って、後から”やはり蓋が欲しかった”という方が多いので、蓋は必要か、ご自宅にあるものが使えるかを事前に確認していただくといいと思います」
取手がなく重ねて収納できる「姫野作.本手打アルミやっとこ鍋」。そのまま器やボウルにも使えます
「アルミの行平鍋を購入したら、まずは米のとぎ汁で煮てください。こうすることで被膜ができ、鍋の変色の発生を減らすことができます。定期的に行うとより効果的です」
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これで中華の達人に? 油を使う料理に差が出る「鉄製中華鍋」
幾度も叩き締められてとても丈夫な「釜浅の鉄打ち出しフライパン」。打ち出しによってできる表面の凹凸に油がよく馴染むそう
炒め物や焼き物に欠かせないフライパン。鉄製は表面を加工していないので、長い間使用しても剥離が起きることがなく、使うほど油が馴染んで使いやすく育つという、道具としての楽しみも。『釜浅商店』には、神奈川県の「山田工業所」に製作を依頼しているオリジナルが並びます。
「『山田工業所』は打出してフライパンを作っている、日本で唯一のメーカー。一般的なフライパンと比べて厚手の鉄板を使用することで蓄熱性が高まり、料理をおいしく焼き上げます」
打出し製法で数千回叩き締められている [食楽web]
棚には同じく鉄製の中華鍋も。中華鍋といえば、形を見ただけで鍋を煽るシェフの姿が思い浮かぶ、中華料理の代表的な存在。それだけにプロ仕様のイメージがあり、憧れているものの少しハードルが高いような……。
「山田工業所の北京鍋は打ち出し製法により、数千回叩き締められているため非常に丈夫です。また鍋底が丸い形状で火のあたりがよく、炒める作業もフライパンよりずっと早いです。厚さは1.2ミリと1.6ミリの2種類ありますが、1.2ミリは意外と軽いですし、フライパンより深さがあるので、揚げたり茹でたりと広く活用できます」
中華鍋とお玉、一緒に持つとなんだかテンションがあがります!
中華鍋といえば、柄が長いお玉とセットで使いたいところ。同店にはオリジナルの「ステンレス中華お玉」があり、業務用よりも柄が少し短く、ステンレス製で使いやすいので家庭用におすすめだそう。中華鍋とセットで持つと、料理の腕がぐんと上がりそう! ただ、鉄製の扱いは難しいのでは?
「最初に油馴らしという作業だけが必要になります。多めの油を入れて、野菜くずなどで鍋肌までしっかりと油を馴染ませれば、あとは普通にお使いいただいて大丈夫です。但し、洗剤を使うとせっかく馴染んだ油が抜けてしまうので、普段は棕櫚の束子などで水洗いして、水気をしっかりと飛ばしてからしまってください」
鉄製の中華鍋は、慣れれば扱いが簡単。炒め物も時短でおいしく出来るとのこと。これはぜひ、お玉とセットでお迎えしたい道具です。
冷蔵保存からオーブン料理までOK! サイズが多彩なステンレス製のバット
新潟県燕三条産の「ステンレス角バット」。大小さまざまなサイズが揃います
ほかにも、あると便利な道具として齋藤さんがおすすめしてくれたのが、ステンレス製の「バット」です。
「ステンレス製は錆びにくくお手入れも簡単。下ごしらえから調理まで大活躍します。角バット用の網をセットすれば水切りや油切りもできて、深型タイプはオーブン料理にも。専用の蓋で保存容器になるので、におい移りしやすいものの冷蔵保存や、漬け物作りもできますよ」
さまざまな大きさを展開する「ステンレス深型バット」と「ステンレス深型バット用樹脂蓋」。保存のほか、蓋を外せばオーブン料理にも使えます
小道具も充実している店内。おろし金の食材を綺麗にかきだす「おろし金スクレーパー」もおすすめ!
多種多彩で奥が深い調理道具の世界。使いやすく、相性がいい道具を見つけ出すには、実際に手に取って大きさや質感を確かめることが重要です。選んだ道具が自分仕様に育つ頃には、料理の腕もかなり上がっているでしょう。ぜひ、一生付き合いたくなる愛用の道具を探してみてください。
●DATA
釜浅商店
https://kama-asa.co.jp/