FXをやるうえで、当然リスクはつきもの。しかし、「生涯トレード回数を少なくする」「自分自身のトレードルールを作る」といったことを心掛けることで、勝率は上がる、とFXトレーダーであるHiro氏は言います。Hiro氏の著書「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より、自分のトレードルールを定めるうえで重要な「2つのポイント」について、詳しくみていきましょう。
トレード回数は「少ないほうがいい」理由とは
「生涯トレード回数は少ないほうがいい」というのが私の持論です。少ない回数でトレードすることによるメリットについてお伝えします。
3つのメリット
「トレードはやればやるほど稼げる」
「トレード回数は多いほうがいいに決まっている」
過去の私はこのように考えており、今もこの考え方自体は決して間違ってはいないと思っています。
ただ、ここで前提になってくるのが、「勝てるトレードルールを淡々と運用できている」ということです。この前提がない、もしくは崩れた状態でトレード回数を重ねていっても、利益は増えるどころか損失が拡大していきます。
トレード回数を少なくする、絞る方向で自分のトレードスタイルを構築していくほうがメリットが大きく、結果的に利益の伸び方やスピードを最大化させることができるのではないか、現在ではこのように考えています。
では、この考え方のメリットについて3つ紹介します。
①トレードの勝率や利益率が上がりやすくなる
1つ目は、トレード回数を絞るということはトレードルールを厳しくする、言い換えれば分析のフィルターを濃くしたり多くしたりすることにつながるので、端的にトレードの勝率や利益率が上がりやすくなります。
例えば私の場合だと、トレンドフォローにおける押し目買いと戻り売りというトレード手法の精度をさらに高めるために、エリオット波動や通貨強弱というフィルターを追加しているイメージです。
さらにそのフィルターをかける中で自分の得意とするパターンと違ったり、何か違和感を感じたりした場合にはトレードを避けるようにしています。
つまり、トレードする理由を探すのではなく、「トレードしない理由」を探して見つからなければ仕方なくトレードをする、そんな考えの下で日々トレードをしています。
②集中力が高まりやすくなる
2つ目は、1回のトレードにおける集中力が高まりやすくなり、それがトレードの精度向上につながるということです。
例えば、1日に何回でもトレードしていいという状況と、1日に1回しかトレードしてはいけないという縛りがある状態、どちらが慎重にエントリーポイントの見極めをすると思いますか? 答えは明白でしょう。
同じ作業が続くと集中力が失われます。トレードでも同じで、トレード回数が多いと惰性でやってしまい、せっかくの優位性も発揮できなくなる可能性が高まってしまうのではないか、膨大な検証やリアルトレードにおける経験で、私自身はこう考えるようになりました。
トレード回数は少なくてもいい。その代わり、チャンスをギリギリまで引きつけて、狙いすました渾身のワンショットを撃つ、私がトレードにおいて常に心がけていることです。
また、どんなに集中力を高めても人間はミスをする生き物です。その施行回数が多ければ多いほどミスをする可能性も高まります。自らのミスではなく、相場のリスクに巻き込まれる可能性だってあるわけです。
それならば、やはりトレード回数を絞ってそのあたりのリスクとのバランス、妥協点を探っていくほうが現実的だと感じます。
ただし、このトレード回数とは各スタイルに合わせた相対的なものと考えてください。例えばスキャルピングなら1日数回、デイトレードなら1週間に数回、スイングなら1か月に数回、このようなイメージです。
③メンタルが安定する
3つ目のメリットは、メンタルの安定です。
例えば同じ勝率60%のトレードでも、1か月の間に100回トレードすれば60勝40敗、10回であれば6勝4敗と割合的な価値は同じです。
しかし、前者であれば60勝する代わり「40敗」します。後者であればたったの「4敗」、メンタルへのダメージは明らかに前者のほうが大きいです。少し極端な例かもしれませんが、これくらい負けの「数」を意識してもらいたいということです。
これは心理学的な側面からもいわれていることで、人間は利益よりも損失を感情的に重く捉えてしまうという性質があります。トレード回数が多いとそれだけ負ける回数も多くなってしまう。理屈のうえではそれ以上に勝っていれば問題ないわけですが、感情がある人間にとってはそう単純な話ではないわけです。
「トレード回数は多いほうがいいに決まっている」、このような価値観を持っていた方は、この機会にぜひご自身の考え方を見つめ直す機会にしていただければと思います。
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勝つために大切な“トレードルール”…作成のポイントは2つ
トレードを成功させるためには、自分自身のトレードルールを作成することが大切です。他人のルールをコピーしてもいいのですが、自分の性格や生活スタイルに合わせて調整する必要があります。ここでは、トレードルールを作成する際のポイントについて紹介します。
トレードルールは自分で作る
トレードは必ずルールを作って臨む。ここまで本書を読み進めてくださった方であれば、この重要性についてはご理解いただけると思います。
問題なのは、どんなトレードルールを作成するかです。ここで他人のトレードルールをコピーするという方法が考えられますが、あまりおすすめはしません。当然ですが、自分と他人では性格や生活スタイル、資金量が違って、同じルールであっても運用結果は異なってしまうことがほとんどです。ルールに裁量が入っていればなおさらです。
もちろん、学習の初期段階や自分のルールを作る叩き台のために他人のルールを真似してみるのはとても有効な方法だと思います。ですが、あくまでトレードルールは自分で作ることが肝要です。コピーをするにしても自分仕様に多少のアレンジは必要です。この意識を持つようにしてください。
そのうえで、トレードルールを作る際のポイントを2つ紹介します。
ポイント①どんな波を、どのような形で取りたいか
まず1つ目が、トレードのコンセプトを明確にすることです。言い換えると、「どんな波を、どのような形で取りたいか」をまず決めるということです。例えば私であれば、次のようなコンセプトを立てます。
●エリオット波動の推進5波を取りたい
●そのためには時間足を落として、3波の初動でエントリーして、5波終了で決済するトレンドフォロー戦略を採用する
このような形でまずはコンセプトを決め、次は具体的にどうしていくかといった細かいポイントを深掘りしていきます。過去の私もそうでしたが、最初はどうしても近視眼的に相場を見てしまうことで、細かいテクニック的なところから考えてしまいがちです。そうなると、自分の中に軸がないためトレードがブレたり、うまくいかないと「他にいい手法はないか」と聖杯探しを始めがちになります。
まずは大枠である戦略、コンセプトの部分を明確にするように意識してください。
ポイント②継続できるかどうか
2つ目のポイントが、継続できるかどうかを最優先にすることです。
自分自身の性格や生活スタイルを考慮して、無理なく続けられるかどうか、これを何よりも優先させてトレードスタイルやルールを決めるようにしてください。
大事なポイントなのでもっと端的な言い方をします。「勝てるかどうか」より「継続できるか」を優先してください。いくら勝てる手法であったとしても、それを継続的に運用できなければまったく意味がありません。今は勝てなくても、継続できるスタイルで始めれば、その継続の過程で修正が可能になります。ですから、私は継続できるかどうかを優先すべきだと考えています。
「鶏が先か、卵が先か?」に似たような話で、人それぞれの捉え方による部分も大きい話だと思いますが、多くの人を見てきて感じた私なりの結論です。
最初から勝てるかどうかを優先している人は、いつまで経っても勝てないか、いつの間にかいなくなっているのに対して、継続できるスタイルで始めた人は遅かれ早かれ勝てるようになっている人が多いです。
また、いくらお金を稼がなくてはいけないとはいえ、大切な家族との関係性や自分の健康を損なってまでFXをするべきではありません。家族との時間や自分の健康を大切にしながらお金を稼ぐ手段を模索する、その1つの方法がFXというだけです。
無理を続けていくと、精神面、肉体面のどこかに歪みが生じてしまい、必ずいつか破綻します。それはトレードそのものかもしれないし、人間関係やあなたの健康かもしれません。そうなる前にこのポイントを今一度考えてみてください。
Hiro
FXトレーダー