「教育資金の一括贈与の特例」のメリット・デメリット
ではここで、「教育資金の一括贈与の特例」のメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット
①最大1,500万円までの生前贈与が非課税になる
贈与したお金の使途は限定されるものの、1,500万円までは贈与税がかかりません。このため子供や孫の学費を払いたい、学習塾代などの負担を軽くしたいと考えている場合は良いでしょう。
②暦年贈与と併用できる
「教育資金の一括贈与の特例」と「暦年贈与」は、併用が可能です。教育資金の一括贈与の特例を使っていたとしても贈与税の基礎控除額110万円は適用されるため、節税効果を高めることができます。
デメリット
①使い切れなかった分の贈与資金は相続財産に加算される
贈与者が途中で死亡するなどして使い切れていない部分は、原則として相続税の課税対象財産として扱われます。
②扶養者からの教育費・生活費はそもそも非課税となっている
両親や祖父母といった扶養義務者からの教育費や生活費の贈与はそもそも非課税であり、贈与税がかかりません。そのため入学金や授業料を支払う際、都度贈与をする形でも問題はありません。
③手続きが煩雑で大変である
税法改正等により所得制限などの要件も年々厳しくなり、また制度を取り扱っている銀行や金融機関から預金を引き出すときは金融機関に領収書等を提出しなけらばなりません。この手続き等が煩雑で、さらに教育資金であるかどうかの基準も厳しくなっています。
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非課税のはずが…「思わぬ課税」のリスクには注意が必要
「教育資金の一括贈与」の制度は、教育資金であればまとめて1,500万円まで贈与できるため、富裕層を中心としたの税金対策として検討されることも少なくありません。
しかし、使い切れない場合や、教育以外の目的で使ってしまったときなどは贈与税がかかることになるため注意が必要です。
この制度を利用するときは、思わぬ贈与税や相続税がかかるといったデメリットもあります。その点を含め、税理士等の専門家に相談されるとよいでしょう。
宮路 幸人
多賀谷会計事務所
税理士/CFP