朝晩に秋の気配を感じられるようになってきたら、来年のガーデンをイメージしましょう! 新たに植え付ける植物を選んだり、お取り寄せの予約をする時期がやってきました。ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが今回ピックアップする植物は、イキシア。秋植え球根のなかでも、まだ流通量が少なく、新鮮な魅力があるイキシアのおすすめ品種と植栽アイデア、育て方のコツについて解説していただきます。
植えっ放しで宿根草植栽に織り交ぜて楽しめる! 南アフリカ原産の秋植え球根「イキシア」
秋植え球根というと、どんな花を思い浮かべますか? 他の植物に先駆けて早春を彩るシラーなどの小球根類? 春庭の華やかな主役、チューリップ? これらはガーデニングでは定番の植物ですよね。
今回は、少し視点を変えて、植えっ放しで宿根草植栽に織り交ぜて楽しめる、南アフリカ原産の秋植え球根植物、イキシアの仲間を乙庭セレクトでご紹介します。
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今回ご紹介するイキシアは、日本でも昭和期から少し流通はしていましたが、今日よりも冬の寒さが厳しかった1970〜80年代は、冬越しが難しく、また、インターネットも普及しておらず、育て方や庭での組み合わせ方などが分かり難かったせいからか、あまり普及しないまま今日に至っています。
読者のみなさんも、イキシアを積極的に上手に植栽に織り交ぜて植えている例に出会ったことは少ないのではないでしょうか。
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今日では1900年代よりも温暖化が進み、日本の冬の最低気温が少し上がっています。1900年代には冬越しが微妙に難しかったイキシアも、関東平野部以南の温暖地域ではムスカリやスイセンのように植えっ放しで宿根草のように扱えるようになってきました。
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イキシアを地植えにしたまま栽培するには、冬の寒さが大きな障壁でしたが、現代の日本の気候環境であれば、それもクリアされつつあります。暑さや乾燥には強い南アフリカ原産のイキシアは、以前よりも日本の栽培に適合するようになってきていると感じます。
イキシアの魅力は、しなやかな花茎が風に揺れる花姿です。か細いながらもしっかりした花茎の頂部に色彩豊かな穂状花をたわわに咲かせ、レアで異色な雰囲気もありながら、宿根草植栽のナチュラルな景色と調和しつつ、開花時にはとても目を引く見どころになります。
私も、今後植栽に積極的に取り入れていきたいと注目している素材です。
宿根草と定番的な秋植え球根だけではラインナップがカブって差別化が図りにくいナチュラリスティックな宿根草植栽に、独創性を加える素材として使うと効果的ですよ。
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宿根草苗と違い、流通時期が短いので買い時を逃さないように
エレムルスやアリウムなどバラエティ豊かな秋植え球根。
イキシアの仲間は、植え付け以降は宿根草のように楽しめますが、通年手に入る宿根草の苗とは違い、休眠期の球根の状態で秋植え球根として販売されます。秋のごく短い期間しか園芸店の店頭に並びません。また、人気のあるチューリップほどは流通量も多くないので、手に入れたい場合は、夏から受付開始するオンラインショップの早期予約などを活用して、先手先手に準備をしていくとよいでしょう。
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