投資で大きな成功を収めた「相場の達人」には、一匹狼的な人が多いという共通点があります。それはなぜなのでしょうか。本記事では『株式投資 100の金言』(さくら舎)から一部抜粋し、著者の〈桑原晃弥氏〉が、ウォーレン・バフェットやベンジャミン・グレアムなどの金言を基に、投資に対して取るべき行動と考え方をご紹介します。

他人を頼るべからず、自力を頼むべし

投資の世界で大きな成功を収めた人の中に「一匹狼」的な人が多いのは、投資で成功するためには「自分の頭で考え、自分の責任で行動する」ことが求められるからです。

ウォーレン・バフェットは「独力で考えなかったら、投資では成功しない」と言い切っていますし、是川銀蔵も「銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ」と明言しています。

ところが、現実には「自分で考える」のではなく、「考えることを他人に任せている」人も少なくありません。経済誌や専門紙をくまなくチェックして、証券会社などのセミナーにも熱心に参加して、ユーチューブなどにも目を通して、とても熱心に情報を集めてはいるのですが、そこで得た情報を元に売買をするだけで、肝心の「自分の頭で考える」が抜け落ちているのです。

結果、セミナーで推奨された銘柄を買い、専門紙の「売った方がいい」という情報を元に売ることを繰り返すだけで、そこに自分がないために、熱心ではあるものの、肝心の利益につながらないということがよくあります。

大切なのは自分で調べて、自分で考え、自分で納得したうえで行動することです。そうすれば失敗した時もその理由がよく分かるし、利益が出た時には「自分でやった」という大きな自信にもつながるのです。

(広告の後にも続きます)

みんながあなたと正反対の考えであろうとも、そのこととあなたの判断の成否とは無関係だ

前ページの話と共通しますが、投資の世界の成功者に「一匹狼」が多いのは、投資の判断が「会議を開き、みんなの意見を聞いて、多数決で決める」のとは縁遠いところにあるからです。みんなが賛成するようではイノベーションとは言えない、とはよく言われることですが、人の先を行きたいのなら7割賛成でも遅く、半分が反対するくらいでちょうどいいわけです。

投資の世界においては100人中99人が反対したとしても我が道を行く、というくらいの人のほうが成功を手にしやすいようです。牛田権三郎の『三猿金泉秘録』にこんな格言が載っています。

「万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし」「野も山も皆一面に弱気なら、あほうになりて米を買うべし」いずれも周りが「強気一辺倒」「弱気一色」の時に勇気を持って「売る」とか「買う」をすることで初めて成功者になれることを説いたものです。

ただし、みんなと違う行動をするためには条件があります。みんなが右に向かっている時に、たった1人でも左に向かうには「十分な知識と信頼できる判断という裏付け」が欠かせないというのがベンジャミン・グレアムの指摘です。

何が正しいか、どう行動すべきかは、多数決ではなく、自分で考え決めることなのです。

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト