厳しい暑さや冷房による冷えは「なんとなく不調」の原因になることも。未病の対策は薬膳の考えに基づき、体調に合わせた食べ物をとるのがおすすめです。ここでは、体を温める食べ物と冷やす食べ物の一覧や、体調別の薬膳レシピをご紹介します。

「薬膳」を食事に取り入れよう

薬膳は身近な食材を使って家庭で簡単に取り入れることができます。

「薬膳」は体の状態に合わせてとる食事

「薬膳」とは、漢方の理論をもとに体調や体質、症状、季節に合わせてとる食事のこと。もともと、食材も薬も同じ食べ物であり、区別はありませんでした。体調に合わせた食材を選ぶことで体によい影響を与えるのが「医食同源」の考え方です。

食材の選び方は簡単です。健康な状態のときは、旬の食べ物を中心に選べばOK。「未病」のときは、体の状態に合わせた食べ物も加えましょう。未病の対策は東洋医学が得意とする分野で、薬だけでなく食事でも養生することが重んじられています。

たとえば、冷えが気になるときは体を温めるとされるしょうがや鶏肉などがおすすめです。一方、体に熱がこもっているときは、体を冷やすとされるきゅうりやトマトなどがよいでしょう。

注目が高まる「未病」対策

中国最古の医学書とされる「黄帝内経」では、未病を「病気に向かう状態」としています。

また、スーパー大辞林では、未病を「病気ではないが、健康でもない状態。自覚症状はないが検査結果に異常がある場合と、自覚症状はあるが検査結果に異常がない場合に大別される。骨粗しょう症、肥満など」としています。

近年は予防医学への意識が高まりつつあり、病気になりにくい健康的な体づくりをする目的で未病対策が注目されています。

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薬膳による食べ物の分類


薬膳では、食べ物を体へのはたらきによって次の5つに分類しています。「熱性」「温性」は体を温める食べ物、「涼性」「寒性」は体を冷やす食べ物、「平性」はどちらにも偏らない食べ物です。

「熱性」「温性」→体を温める食べ物

【主な食べ物】
しょうが、にんにく、とうがらし、こしょう、シナモン、山椒、かぼちゃ、ネギ、ニラ、しそ、えび、鶏肉、鮭、納豆、紅茶、黒砂糖など。

【特徴】
寒い季節に旬を迎える食べ物や、寒い地域でとれる食べ物が多い。

【食べ方のポイント】
体が冷えてつらいときは「熱性」「温性」の食べ物を積極的にとりましょう。カレーにはしょうがなど体を温めるスパイスがたくさん含まれています。寒い季節はネギやえび、鶏肉などを使った鍋料理もおすすめです。

「涼性」「寒性」→体を冷やす食べ物

【主な食べ物】
トマト、ナス、きゅうり、スイカ、バナナ、ゴーヤ、大根、わかめ、豆腐、あさり、しじみ、緑茶、ミントなど。

【特徴】
暑い季節に旬を迎える食べ物や、暑い地域でとれる食べ物が多い。

【食べ方のポイント】
夏はきゅうりやスイカなど旬の野菜や果物をとることで体にこもった熱を冷ますことができます。一方、冷えが気になる人は食材を加熱したり、「熱性」「温性」の食べ物と組み合わせたりして食べるなどの工夫をしましょう。

「平性」→どちらにも偏らない食べ物

【主な食べ物】
じゃがいも、さつまいも、さといも、やまいも、あずき、豚肉、卵、大豆、チーズ、はちみつなど。