旅行先での大きな楽しみのひとつは食事。ただし、海外だと食文化はもちろん、環境や気候も違うため、体調を崩してしまう人もいる。それでも観光できる程度であればいいが、なかには1日中ホテルのベッドの上で過ごすハメに……なんてケースもあるようだ。
システムエンジニアの根岸光雄さん(仮名・36歳)は、5歳下の妻と昨夏マレーシアを旅行。ところが、現地滞在中に体調を崩してしまい、ホテルの部屋で寝込むハメになってしまったという。
◆激しい腹痛に襲われ、観光どころかホテルから一歩も出られず
「旅行3日目、首都クアラルンプールから南に150㎞ほどの場所にあるかつてのポルトガルの植民地、マラッカに訪れた時のことです。普段、車酔いはしないのですがこの日は珍しく気持ちが悪くなってしまって……。
しかも、お腹の調子もヤバいことになり、現地のバスターミナルに到着後はトイレに直行。夕方、ホテルにチェックインした後、本当は軽く市内観光して外で食事する予定でしたが、そのまま部屋で休むことにしたんです」
吐き気はすでに治まっていたがお腹は完全に下しており、何度もトイレと部屋を往復。次の日も前日に比べれば多少マシにはなっていたが観光できる状況ではなく、部屋で休むことにしたそうだ。
◆地元の食材に“当たって”しまった
「独身時代から海外旅行は好きだったんですけど、胃腸はあまり丈夫ではなく旅先でお腹を下すこともありました。それでもここまで強烈なのは大学時代に旅したインド以来。
一応、ナマモノや魚介系には手を出さないようにしていましたが、2日目から3日目の昼にかけてクアラルンプールの屋台や地元民向けの安食堂で飲み食いした何かが当たっちゃったのかもしれません」
ちなみにマラッカは以前から根岸さんが訪れたかった街。念願が叶ったはずだったが、滞在中はずっとホテルの自室。部屋の窓から街並みを眺めるだけだったとか。
「ただ、ホテルは街の中心部から近かったため、奥さんが買い出しのついで撮影して後で動画を見せてくれたんです。撮りながら自分でナレーションも入れていて、それはすごく嬉しかったですね」
◆車内でトイレが我慢できなくなり、あわや大惨事の場面も
5日目には再びクアラルンプールに戻ることになっていたが、体調を考慮して現地では定番の『Grab』というライドシェアサービスを利用して車をチャーター。
かなり体調は回復してきたとはいえ、それでも途中でトイレが我慢できなくなり、途中でパーキングエリアに寄ってもらったそうだ。
「ドライバーさんに伝えたら急いで向かってくれたので間に合いましたが、到着するのがあと10分遅ければ車内で大惨事でした(苦笑)」
◆体調は回復傾向も…妻からストップ
クアラルンプールではマラッカに来る前に観光していたが、行けてない場所もあったので観に行こうと考えていた根岸さん。最初は体調も回復してきたからと楽観視していたが、まだ本調子に程遠いと判断した妻からストップがかってしまう。
結局、問答無用でその日の宿泊先だった空港近くのホテルに直行することになってしまったそうだ。
「私は帰国翌日から仕事でしたし、結果的には無理して街に繰り出さず、ホテルで静養に努めるように勧めた妻の判断は正解だったと思います。
せっかくの海外旅行なのに私に付き合ってほとんどの時間をホテルで過ごすことになり、彼女には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、よくよく考えると私と同じモノしか食べてないんですよね。それで私だけ体調を崩すってなんか理不尽だなって」
◆せっかくのビジネスクラスも満喫できず
なお、この旅は直行便ではなく香港乗り継ぎで時間はかかったものの全区間ビジネスクラス。機内食や空港ラウンジでの食事も楽しみにしていたが帰りはほとんど手を付けられなかった。
「奮発してビジネスクラスにしたのにまさかこんなことになるなんて……。ただ、妻は僕の分まで2人分の機内食を平らげ、満足そうでしたけど(笑)」
◆妻は内心では夫を恨んでいた?
会社の健康診断などでは特に異常はないそうだが、旅行中以外でもしばしばお腹を下すことも。そのため、妻からは「山根君(※『ちびまる子ちゃん』に登場する胃腸が弱いキャラ)みたい」とイジられている根岸さん。
しかし、旅先でお腹を壊すリスクはほかの人より高くても海外旅行に行きたいという気持ちが消えることはないようだ。
「年末年始も行きたいのですが妻は反対みたい。ハワイなら日本食も多いし、大丈夫かもしれないと言いましたが、『物価もホテル代も高すぎる!』と即却下。賛成を取りつけるのはなかなか大変そうです」
旅行中は夫の体調を気遣って優しい言葉をかけていた妻だったが、思うように観光ができなかったことに内心では恨んでいたのかも。
<TEXT/トシタカマサ>
―[台無しになった旅行]―
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。