全身タトゥーのセクシー女優が語る“AV新法の影響”「デビュー直後に仕事が全然入らなくなってしまって」

 不登校だった中学校時代に、タトゥーと出会った叶芽遥希さん(28歳・@haruki_kaname06)。前編ではタトゥーを入れた経緯や、セクシー業界に飛び込むまでの話を語ってもらいました。

 後編は、叶芽さんのタトゥーに対するさらに深い思いや、タトゥーが入っているからこそ聞けたファンからの声を紹介します。タトゥー以外の身体改造の話や、出演してみたい意外な作品ジャンルなども注目ですよ。

◆タトゥーに対して否定的な意見を言われた

――叶芽さんがタトゥーを入れたことを後悔したときに言われた、否定的な意見とはどういう内容でしたか?

叶芽遥希(以下、叶芽):「子どもが産まれたらどうするの?」とか「結婚するときはどうするの?」とか。タトゥーを否定されて、というよりも、いろいろと言われてネガティブになっているときに、メチャクチャ落ち込んじゃったって感じです。

――精神的に落ち込んでいるときには、否定的な意見が突き刺さりますしね。しかしタトゥーに対して、そんなに直接的に否定的なことを言う人もいるんですね。

叶芽:けっこう言われましたね。ガールズバーで働いているときに「タトゥーは無理だから来ないで」って言われたこともあります。あと、タトゥーといえばヤンキーのイメージがあるのか、「気合入ってるね」とか「そっち系の人と付き合ってるの?」とか。

――自分とは違う世界の人間のように思われてしまうんですかね。

叶芽:「怖い」ってイメージはあるみたいですね。近寄りがたい、というか。今でも時々「怖そう」って言われますし。

◆「アニメ系のタトゥーを入れてなくて良かった(笑)」


――「元ヤンなの?」なんて言われそうですね。

叶芽:言われます、言われます。実際はヤンキーどころか、家に引きこもってアニメやYouTubeを見ているタイプだったんですけど。

――アニメ、お好きなんですか。タトゥーでアニメキャラとか入れなくて良かったですね。

叶芽:それ、マネージャーさんにも言われました、「タトゥーで版権ものが入っていなくて良かった」って(笑)。ひょっとしたら出演作で、タトゥーにモザイクがかかっちゃうかもしれませんでしたから。

◆マリア様のタトゥーは優しかったおばさん


――タトゥーはキリスト教系のデザインが多いみたいですけど、なにか理由があるんですか?

叶芽:左腕にあるマリア様のタトゥーは、私のおばさんをイメージしているんです。よく私の面倒を見てくれて、怒ったところを一回も見たことがないくらい優しいおばさんだったんですけど、病気で亡くなってしまって。育ての親みたいに思っていたんですね。「マリア様みたいな優しさだったな」と思って、でももう亡くなっているので、顔はドクロに、手も骨にしたイメージでデザインして入れてもらいました。

――タトゥーは、自分が考えたものを自分の身体で表現するアート、という感じなんですかね。

叶芽:そうですね。とくに私の場合、左腕はそんな感じのデザインがいっぱい入っています。

◆タトゥーに対する日本人の目は厳しい


――タトゥーを入れていて良かったことはありますか?

叶芽:最近だと、海外のファンの方が注目してくれることが多いですね。この前は海外のジャーナリストさんから「緊縛モデルをやってほしい」と依頼がありました。日本でも「好きです」って言ってくれるファンの方が増えてきましたね。いろいろな女優さんがいても、やっぱりタトゥーが入っている女優さんはまだ少ないので、タトゥーフェチの方には刺さっているんだと思います。

――実際の話、日本でタトゥーがバッチリ入っているセクシー女優さんって、あまりいないじゃないですか。海外では「タトゥーも個性」と考えられている点もありますが、日本ではどうですか?

叶芽:デビューのときは、いろいろと言われましたね。「タトゥーが入っているからエロくない。そっちに目が行ってしまう」とレビューを書かれたことも。「見てほしいところはそこじゃないんだけど、なんでそこだけ見ちゃうんだろう」とは思いました。あとは「セクシー女優のくせにタトゥーを入れてるなんて、どういうことだ!」みたいな意見も。

◆実際に会うとイメージがガラッと変わる

――ちょっと良くわからない意見ですね。好意的な意見はありましたか?

叶芽:ありがたいことに、好意的な意見もたくさんいただけたんです。タトゥー好きの方から「新しくタトゥー女優さんが誕生したぞ、期待だ!」みたいな。あとは「タトゥーが入っているクール系の女の子が責められているのが興奮する」という意見もありました。今はけっこう責められ役が多いので、ニーズに応えられているかな、と(笑)。

――タトゥーが入っていると、どうしても「責め役」のイメージがありますからね。

叶芽:そうですね、今はファンになってくれた方からも「最初は怖かった」と言われることが多くて。でも初めてイベントをしたときに「叶芽遥希ってタトゥーが入ってるけど、よくしゃべるしよく笑うし、いいな」と思ってくれた方もいます。

◆制服を着てみたいしイチャラブもしてみたい!

――でも出演作品は「タトゥーがある女の子」の部分をメインにしているものが多いですよね。

叶芽:はい、私の出演作って、役って言えるほどの役がないものばっかりなんですよ。素のままの叶芽遥希、ばっかりです。それはそれで求められているわけですから、ありがたいんですけど。

――制服とか着てみたいと思いません?

叶芽:着たいですよ!制服着たいし、イチャラブもしてみたいんですよ、私。ドラマものも出てみたいし、面接でもそう言っているんですけどね……。

――じゃあ「叶芽遥希でイチャラブ作品を撮りたい」ってメーカーさんを募集しましょうか。

叶芽:ぜひお願いします!

◆AV新法の影響でデビュー直後は仕事がなかった

――叶芽さんはデビューが2022年ですが、AV新法の影響は受けていますか?

叶芽:私、デビュー作を6月に撮り終わって、その直後にAV新法ができたんですよ。AV新法と共に生まれました(笑)。でもそこから仕事が全然入らなくなってしまって、大変でしたね。

――さすがに笑えないですよ……。当時は業界全体が混乱していたので、仕方がないかもしれませんが。叶芽さんはハードな撮影が多いですが、AV新法で事前に撮影内容が説明されることで安心できる面はありますか?

叶芽:そういう安心感は、とくには。ただ契約から撮影までの1か月をジムに通ったり、美容院に行ったり、準備期間にできるのはありがたいですね。最初は困りましたけど、今はうまく付き合っています。

――叶芽さんはAV新法、あったほうがいいと思っていますか?

叶芽:うーん、今からセクシー女優をやりたいと考えている子にとっては、考える時間があるのはいいと思います。でももう活動を始めている女優さんは、やっぱりいらないって方もいますから難しいですね。

◆タトゥー以外の身体改造経験も豊富


――ちょっと話が変わりますが、タトゥーを入れている方って身体改造をしている方も多いじゃないですか。叶芽さんはそちらには興味はないんですか?

叶芽:実は私、デビュー前にスプリットタンをやっていたんです。自分で舌の先を切って。デビューするときに手術で治したんですけど。ピアスももっとスゴイのを付けていて、もう穴がポッカリ空いているみたいな状態だったんですよ。

――あ、たしかに舌を見ると、跡が残ってますね。手術ってどんな方法なんですか?

叶芽:スプリットタンは舌を電気メスで切って、くっつくようにして縫合ですね。ピアスも穴の部分を切り取って、縫合して治すんですよ。

――ゾクゾクしてきました……。今はもうしないんですか?

叶芽:実は舌ピアスを開けたいんですけど、お口でするときにひっかかりそうで(笑)。

◆タトゥーを生かしたトータルモデルが目標

――じゃあそっちは引退後ですかね(笑)。それでは最後に、今後のセクシー女優としての目標を聞かせてください。

叶芽:今、女優さん以外にも、いろいろなイベントへの出演や、緊縛モデルもしているんです。だからセクシー女優だけじゃなくて、タトゥーを活かしたお仕事がいろいろできる、トータルモデルとして活動していきたいですね。

――あと、制服を着てイチャラブ作品に出演する、と。

叶芽:はい、オファーお待ちしてます(笑)。

<取材・文/蒼樹リュウスケ 撮影/星亘>

【叶芽遥希】

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【蒼樹リュウスケ】

大学在学中に成人誌出版社で編集のアルバイトを始め、そのままアダルト業界に定住。大手AVメーカーの雑誌編集部を経て、フリーライターとして独立。好きなことを書きたいと思った結果、アダルトならなんでもありな文章を書きまくる生活を送っている