2人以上の子供がいる家庭において、特に家賃・土地の高いエリアでは、きょうだいが同じ部屋を使っているというケースも多いでしょう。そこで親の頭を悩ますのが、子供部屋の片づけです。そこで今回、一級建築士/模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏の著書『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より、「散らかりにくい子供部屋」をつくるためのテクニックを紹介します。
収納家具はたくさんあるのに!…なぜか“リビングが片付かない”根本原因【模様替えのプロが解説】
荒れ放題の子供部屋は“空間分け”で片づけやすくなる
子供部屋は3つの空間(スペース)に分ける
子供部屋の数は、子供の数だけあることが、理想的です。
しかし、日本の住宅事情を鑑みると、子供1人に1つの子供部屋を与えられるご家庭は少なく、とくに兄弟姉妹が多い場合は、子供の数に合った部屋数を確保するのは難しい、というのが現状です。
そのため、1つの子供部屋を、兄弟姉妹で、上手に使う必要が出てきます。
この1つの子供部屋を兄弟姉妹で上手に使うためには、部屋の空間分けが大切です。
子供部屋の場合の空間分けとは、子供部屋を、[図表1]のように、「就寝空間」「学習空間」「収納空間」の3つの空間に分けることです。
「就寝空間」は、ベッドで眠るための空間、「学習空間」は、学習机で勉強をする空間、そして「収納空間」は、衣類や学習用品などをしまう空間です。
そして、3つの空間の中に、兄弟姉妹それぞれにスペースを振り分けていきます。
兄弟姉妹それぞれのスペースを造ることで、個人の管理する範囲が明確になります。
就寝空間の造りかた
眠るための就寝空間には、大きなベッドがあります。そのため、3つの空間の中では、最も大きなスペースを必要とします。
そして、就寝行為は静かな場所が理想的であるため、ベッドは部屋の落ち着いた空間に設置するべきです。そのため、部屋の隅の壁際などに寄せてレイアウトし、ベッドを部屋の中心から避けることが大切になります。
ベッドの様式は[図表2]のように、シングルベッドをそれぞれの子供に与え、就寝空間を分けることが、プライバシーの観点から理想的です。
しかし、6畳以下の子供部屋の場合、シングルベッドを2つ置いてしまうと、ほかの学習机などが置けなくなるため、物理的には不可能です。その場合は、部屋の高さを利用して、2段ベッドを置くことになります。
2段ベッドの場合、部屋の天井照明の位置と、近くならないことが大切です。なぜなら、上のベッドの高さは約150センチですので、天井照明との距離が近くなるからです。
ただし、2段ベッドは、奥行や幅もあるうえに、高さもあるので、とても圧迫感が出てしまうというデメリットがあります。
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学習空間の造りかた
学習机で勉強をする空間が、学習空間です。
学習机は、別々にレイアウトするより、隣り合わせてレイアウトした方が、兄弟姉妹の動線がシンプルになるため、使いやすい部屋になります。
また、机には学習のためのデスクライトを置くため、学習空間にはコンセントが必要になります。そのため、学習空間の位置は、コンセントのそばにレイアウトすることが、ポイントになります。
学習机のそばにデッドスペース(無駄な空間)がある場合は、[図表3]のように、本棚をそのデッドスペースに設置することも可能です。しかし、基本的に本棚は、次に説明するように収納空間にまとめた方が、片付けやすい部屋になります。
収納空間の造りかた
衣類や学習用品などをしまう場所が、収納空間です。
クローゼットや押入れなど、部屋にすでにある収納のそばに、本棚やオープン棚などを設置し、収納空間を造ります。
本棚やオープン棚には、教科書や辞書などの学習用品や、部活や趣味の物・雑貨などを収納します。[図表4]、[図表5]のように、左右または上下に分けて、兄弟それぞれの管理場所を造りましょう。
1つの部屋を2人で使う場合、この明確な収納分けをすることが大切です。明確な収納分けをすることで、それぞれのテリトリーができ、自分の持ち物に関しては、責任をもって片付けをするようになります。
本棚は、衣類などの収納空間のそばに置いたほうが、物を片付ける収納ゾーンとして空間分けができるため、片付けやすい部屋になります。
しかし、先ほども言いましたが、学習机のそばにデッドスペース(無駄な空間)がある場合は、その空間を利用して、学習机のそばに置いてもかまいません。