薬膳の知恵できれいに。今回はからだを冷やしてうるおす作用が期待でき、日焼けによる肌のダメージにも効果的なレシピをご紹介。レシピは、タコとトマトの炊き込みご飯です。




今年の立秋は8月7日。暦の上ではすでに秋ですが、今年は10月くらいまで暑さが続きそうな勢いです。

とはいえ、暑い中でも空気はなんとなく乾燥し始めていると感じませんか? 暑くても、目が乾燥してゴロゴロしたり、喉の奥がかゆくなったり、ひじ・ひざがカサカサする、といった症状が出てきている方もいるのではないでしょうか?

これは、からだの水分が不足して、乾燥し始めている証拠です。

空気が乾燥すると、からだの細胞の水分も失われ、肺、胃腸、皮膚の機能が低下してしまいます。このような乾燥によって起こる病気の原因を、中医学では「燥邪(そうじゃ)」といいます。

燥邪対策を行うことで、からだを秋に対応できるように準備します。また、急に涼しくなってから体調を崩すことを避けることもできます。

同時にエネルギーである「気」と生命の維持に必要な「血」を補う、「補気・補血」食材をとり、夏の疲れを今のうちに取り除いておくことも大切です。疲れを引きずったまま、季節の変わり目を迎えるのは、からだのトラブルを起こしやすく、危険です。

補血をすることで、からだがうるおってくるのを、感じることができるでしょう。また、中医学では、貧血気味の方や月経トラブル、更年期トラブルは日頃から「補血」を意識するとよいといわれています。

今回ご紹介するレシピは「タコとトマトの炊き込みご飯」です。タコは補気・補血作用があり、からだを冷やし、うるおす作用が期待できます。また、疲労回復効果のあるタウリンも多く含まれており、今の時期にぴったりの食材。ただ消化がよくないので、消化力が低い人は気をつけなければいけません。そんなときは、トマトを加えることで消化力を助けてくれます。

うるおいながらもからだの熱も取ってくれるトマトは、栄養学的にも優秀で、βカロテンやリコピンなどの天然色素カロテノイドが豊富に含まれ、活性酸素の働きを抑制します。日焼けによる肌のダメージにも効果的なので、積極的に使いたい食材です。

今月のレシピ
タコとトマトの炊き込みご飯


<材料>(2人分)
米……1合
ゆでタコ……120g
トマト……1個

<A>
酒……大さじ1
しょうゆ……大さじ1/2

パセリのみじん切り(あれば)……適量

作り方
❶米を洗って、ザルにあけておく。タコは幅1cmに切る。トマトは2cm角程度にざっくり切る。

❷炊飯器に米、<A>を入れて水(分量外)を1合の目盛りまで入れ(炊飯器を使わない場合は水を190ml)、タコ、トマトを加えて炊飯する。

❸炊き上がったら全体的に混ぜ、器に盛り付けてパセリをふりかける。

添え物として存在感が薄いパセリですが、血を補い、気血を巡らせる効能があるので、ぜひちょい足し食材として積極的に取り入れてみてください。



橋本加名子(はしもと かなこ)

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1


文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC

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