夏休み、旅行や帰省で新幹線に乗った人も少なくないのではないだろうか。
もっとも利用者数の多かったJR東海によると、お盆期間(8月9日~18日)に新幹線を利用した人は362万5000人で前年比107%。下りは10日、上りは17日がピークだったという。南海トラフ地震の臨時情報発表や台風7号の接近によって移動を控えた人もいたとみられるが、それでも通常時より利用が集中したことに変わりはない。
混雑する車内で何かと起こりがちなのが乗客どうしのトラブルだ。お盆真っ最中の13日、お笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏さんが新幹線乗車中に遭遇したとみられるエピソードをXに投稿し、話題となった。
朝早くから“酒宴”?
「新幹線で、僕の前の席おっちゃん4人組が席を向かい合わせてお酒を飲みつつご旅行中 いいですねー!自然と声も大きくなり盛り上がってますね!おやおや1人の方が楽しくなりすぎたのかオーバーな手振りでお話しするので、お酒を床にぶちまけましたよ!!みんな大笑い!はははっ!ほんとにもぅ!だまれや」(本人Xアカウント@daiantsudaより)
津田さんは午前8時06分に上記の投稿をしており、もしこの時間にリアルタイムで新幹線に乗車していたとすれば、同じ車両で朝早くからの酒宴に鉢合わせた乗客たちは災難だったと言うほかないだろう。
旅の道中、車窓を眺めながらの“1杯”を楽しみにしている人も多いかもしれない。しかし新幹線内での飲酒をめぐっては、たびたび議論を呼んでおり、「禁止してほしい」との声を聞くこともある。“左党”にとっては寂しいところだが、この先、新幹線内での飲酒が禁止される可能性はあるのだろうか。
JR東海の広報担当者に尋ねると、「現時点で飲酒を禁止する予定はございませんが、そうしたお声があることも踏まえ、快適な車内環境づくりに努めてまいります」とのことだった。
今後も「ちょっと1杯」を片手に旅情を味わいたい人は、周囲に十分配慮しながら、おとなしく楽しむべきだろう。
迷惑客と遭遇も乗務員が見つからない場合は?
新幹線内では飲酒の有無にかかわらず、大声で話す、前の座席を蹴る、隣の席の他人にしつこく話しかける、予約制の特大荷物スペース(東海道・山陽・九州・西九州新幹線のサービス)に勝手に荷物を置くなど、さまざまな迷惑行為のエピソードを聞く。
もちろん、マナーを守って乗車している人が大半だろうが、こうした迷惑客がいた場合、JR東海では次のように対応しているという。
「車内では、他のお客さまにご迷惑をおかけすることのないように、マナー面でのご協力をお願いしております。また、他のお客さまのご迷惑となるような行為を認めた際はお声がけさせていただくなど、快適な車内環境づくりに努めているところです。車内で何かございましたら、車内を巡回しております乗務員や警備員、パーサーまでお申し付けください」(JR 東海・広報担当者)
とはいえ、車両数の多い新幹線。車内を巡回している乗務員や警備員、パーサーをすぐに見つけられない場合もあるだろう。スムーズに相談する術はあるのだろうか。
「前述のように、車内では、乗務員や警備員、パーサーが巡回し、他のお客さまのご迷惑となるような行為を認めた際は必要に応じてお声がけをしております。乗務員に御用の際には、巡回中にお声がけいただくか、8号車乗務員室までお越しください。乗務員が見つけられない場合で車内トラブル等、いち早く連絡する必要がある際は、客室(緊急)通報装置にてお知らせください」(同前)
なお客室(緊急)通報装置について、東海道新幹線の場合、2020年7月にデビューしたN700S系では全客室の前後に設置されている(N700A系は一部、N700系は設置なし)。
東海道新幹線に限らず、新幹線を運行する他のJR各社も通報装置の設置を進めている。また乗務員室の位置は車両によって異なるため、乗車時にその所在を確かめておくことも、万が一の場合の備えとなるだろう。
東北新幹線の客室に設置されたSOSボタン(弁護士JP編集部)