月々わずか「400円」で将来の年金受給額を増やせる
Aさんに届いた「ねんきん定期便」の見込額は、60歳になるまで今の加入条件を継続していた場合の見込額となっています。
年金を増やすためには、今後国民年金保険料に加えて付加保険料を納めるという方法があります。
付加保険料は月額400円で、1ヵ月分の付加保険料を納付すると、年額200円の付加年金が受給できます。
10年(120ヵ月)分の付加保険料を納付した場合、4万8,000円(400円×120ヵ月)の付加保険料になりますが、付加年金は年額2万4,000円(200円×120ヵ月)を受け取ることが可能です。
その結果、定期便で80万円程度と表示されていた年金額は、合計82万円以上に変わります。
60歳以降もまだ増やせる!任意加入の上、付加保険料も納付
また、Aさんは若い頃を含めて、4年8ヵ月分(56ヵ月分)の国民年金保険料の未納がありました。そのため、老齢基礎年金の受給額は満額81万6,000円(2024年度の68歳以下の年額)ではありません。
国民年金の加入義務は60歳になるまでですが、60歳から最大4年8ヵ月(56ヵ月)分、国民年金に任意加入して国民年金保険料を納めることで、老齢基礎年金を81万6,000円(月額6万8,000円)にできます。さらに、任意加入中も付加保険料の納付が可能です。
付加年金は、60歳までの120ヵ月分と60歳以降の56ヵ月分を合わせた3万5,200円(200円×176ヵ月)となります。
老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金で合計すると年間93万円以上。当初の定期便の額・年間80万円より13万円以上増える計算です。60歳以降もまだ年金を増やす機会はあるといえるでしょう。
ただし、任意加入はあくまでも加入が任意であり、加入した月分以降の保険料の納付が可能となります。
たとえば、「56ヵ月分をすべて納めたい」と思っても、62歳になった月に加入手続きをした場合、65歳までの3年(36ヵ月)分しか納められなくなります。つまり、任意加入と任意加入による保険料の納付は、62歳より前に遡って行うことができません。
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自営業者にとって大切なのは「年金受取の開始時期」
以上のように、国民年金保険料と付加保険料を納めることで、無理のない範囲で年金を増やす機会はまだまだあります。
さらに、受け取りの開始時期もポイントです。65歳から年金を受け取ることができますが、繰下げ受給を選択することが可能です。受給の開始を遅らせることによって年金を増額(1ヵ月繰下げにつき0.7%増額)させることができ、繰下げは最大75歳まで行えます。
腱鞘炎の状態も気になるところですので、今後の仕事の状況を見ながら、年金の受給開始時期を選ぶとよいでしょう。
なお、現時点では法人化は考えていないとのことですが、法人化してその代表者となって役員報酬を受け取ると、厚生年金に加入できます。
この場合、国民年金保険料と付加保険料の納付はなくなり、代わりに厚生年金保険料を負担することになります。これにより、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てで年金を増やすこともできます。さらに、最大70歳になるまで厚生年金への加入が可能です。現在は国民年金のままですが、将来的に厚生年金を検討する価値は出てくるかもしれません。
五十嵐 義典
CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役