ラベンダー真っ盛りの6月。正面に見えるのがレストランの建物。

連載の番外編をお届け。

川村明子さんが本誌で『パリのサンドイッチ調査隊』の連載を始めてから、もうすぐ6年が経とうとしています。2021年からは、こぼれ話のウェブ連載『真似をしたくなる、サンドイッチ』も加わって、いまではすっかりサンドイッチの食べ歩きが彼女のライフワークの一つ。「月の半分は、サンドイッチでお昼ごはんという生活を送っているわけですが、ここへ来て、出合ってしまったのです。新たなシリーズを展開したくなる、せずにはいられない、これまでにはない切り口のサンドイッチに」と川村さんは語ります。
さぁ、今回は番外編。菜園のあるレストラン『ル・ドワイヤネ』で、季節の野菜とともに楽しめるタルティーヌについて、全4回に分けて、お届けします。これから冬になるまで、フランスの空気とともに。


ファーム・レストラン『ル・ドワイヤネ』のダイニングルーム。

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出合いは2023年の6月、パリ郊外のファーム・レストランで。

口に入れる前から弾けそうな小粒のグリーンピースがこんもり盛られたタルティーヌ。これが、もう、衝撃的なおいしさで(その興奮は、podcast『今日のおいしい』#44「探し求めていた朝ごはんを見つけた」で)、そして、明白に、パリでは絶対に食べることのできないものでした。そう、パリではなかったのです。
それは、パリから40kmほどの地にあるファーム・レストラン『ル・ドワイヤネ』で、朝ごはんにいただきました。自宅からは、郊外線を利用して1本で行くことができるので、食事を楽しんだらそのまま帰ってくることも可能なのですが、私は最初から、朝ごはんも食べたいと思っていました。『ル・ドワイヤネ』には、食事を予約した場合のみ宿泊可能なゲストルームがあって、朝食もセットになっています。それが楽しみで、宿泊しました。たとえば初夏に南仏で、素敵な宿に滞在すると、朝食がセッティングされた大テーブルにアプリコットや桃がふんだんに盛られていて、その土地の光を纏った季節の味にワクワクするけれど、目の前に畑があるのなら、そのパリ近郊バージョンを体験できるのではないかと想像して。


こちらは room107。ベッド、とても寝心地よかったです。


同じく room107。自宅の寝室にこんなふうに鏡を置きたくなりました。


この自家製の大きなパンが、非常においしいです。


ディナー前。チーズも室温でスタンバイ。