宿泊者限定。朝食のタルティーヌ。

沈みゆく日が反映し、刻一刻と色合いの濃さを増す天井の高いダイニングルームで夕食の時間を過ごした翌朝、通されたのは、メインダイニングの脇にあるこぢんまりとした別の部屋でした。とても天気が良く外は眩しいほどで、室内の照明は消してありました。おかげで空気の色がとても柔らかかった。カップボードのカウンターには、ハムやチーズにヨーグルト、グラノーラがすでに並べられ、写真を撮っていると、ヴィエノワズリーとフルーツも運ばれてきました。その奥には、イチゴ×リンゴ×ミントと書かれた札をぶら下げたジュースのボトルもあって、「さて、何をよそおう?どれも食べたい……」と目移りしていたのに、テーブルの上に無造作に置かれた美しい紙に目をやると、朝食のメニューで、オーダーしてから作られる朝食料理が4つ書かれていました。そのうち一つは、タルティーヌだったのです。

これは、困った。優先順位をつけなければなりません。クロワッサンとパン・オ・ショコラはどちらにするか、パン・オ・ルヴァンはディナーで食べて止まらないおいしさだったし、また食べたいけれどここは諦めるか……。ディナーは1コース制だったため、何を注文するかで迷う時間はありませんでした。朝ごはんで、メニューを見て悩むことになるとは、なんともうれしい想定外です。とはいえ、タルティーヌの文字を見て、頼まない選択肢は私にはなく、注文しました。

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グリーンピースとフレッシュチーズに半熟卵。

食べて受けた衝撃は、どれだけパリで食べ歩いても、畑で収穫されてからパンの上に盛られるまでの距離がここよりも短いタルティーヌには出合えない、という現実を突きつけてきました。鼻先に飛び込んできたグリーンピースの香りは、豆というより鞘そのもので、開放された風味がまだ落ち着いていない印象でした。
それから約1年。グリンピースの盛られたタルティーヌと再会できました。でも、それは昨年とは異なるもので……。


右手に見えるハシゴをもっと右に行くと鶏がたくさんいるんです。

さて、これから冬になるまで、菜園の今の景色が見えるようなタルティーヌの便りを4回に渡って、お送りしますね。Vo1の今回は前後編の2本仕立て。ということで、続きは明日の後編に。