羊乳のリコッタチーズ、空豆とグリーンピースのタルティーヌ

初夏というにはまだ早い、春の終わりに訪れると、淡い黄緑色の一品が登場しました。グリンピースの粒の輪郭が昨年食べたものに比べはっきりしているように感じたのは、生だったから。「火を通さないほうが、青々とした風味も甘味もみずみずしさもより鮮やかだから、それを活かしたかった」とシェフのジェームスは言っていました。花びらが可憐な印象を作っていますが、数口に一度、パンチの効いた辛味が口中に放たれるのです。生ニンニクをおろしたものでもどこかに隠れているのかな?と思ったけれど見当たらず。
「ニンニク、パンにこすりつけたりしてた?すごくインパクトのある辛味が何回か口の中で弾けたんだけど」と聞くも、答えは「ノン」。「じゃあ、行者ニンニク?」と聞いたら「アキコ、もう季節が終わってるよ」「いや、わかってるよ……でもじゃあ何?チャイブの花?」「たぶん、そうじゃないかな」。
チャイブというよりむしろ、ピリッとしたニラと言ったほうが実際の味に近いものをイメージしてもらえる気がします。幼い子につねられたり、デコピンをされると「小さいくせに、手加減しないから痛いんだよ」と思わず漏らしてしまうことがあるけれど、チャイブの花の辛味はそんな感じでした。グリーンピースのみならず、小粒の空豆も生のままで少し潰して加えられていて、フレッシュな味わいをさらに活気づけていました。菜園の入り口近くに生えていたチャイブは、たしかに、細いのにピンと立っていて力強さを感じたな、と脳裏に浮かべ、帰り際にもう一度見にいきました。


5月31日のグリーンピース。鈴なりでした。


5月31日。紫の花をつけたのがチャイブ。


7月5日。タラゴンにオゼイユ(スイバ)、背の高い黄色い花をつけたのはリヴェーシュという、ワイルドなセロリみたいな香りのハーブ。


7月5日のフェンネル。こんなにわんさか。

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2024年6月21日