楽に稼げそうというイメージを持つ人も多いFXですが、稼ぐためには知識をつけ相場のことを理解する必要があります。なかでも、「やらないと稼げない」と言われるほど重要な学習方法があるそうです。FXトレーダーであるHiro氏の著書「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より、勝てるトレーダーになるために必要な学習方法について詳しく見ていきましょう。

FXで勝ちたいなら「検証」が必須のワケ

トレードで成功するためには、学習だけでなく、検証も欠かせません。実際の相場での経験を積み重ね、トレードルールを確立することが重要です。この検証作業を通じて、自信を持ってトレードに臨むことができます。

「アウトプット」にどれだけエネルギーを注げるか

繰り返しますが、トレードで利益を上げられるようになるために「学習」は必須です。学習と聞くと、本を読んだり動画を見たりする「インプット」がメインと考えている人が多いかと思います。もちろん、インプットは大切ですが、それだけでは足りません。学んだ知識を実際の相場でどう使うのか、使いこなすのかという「アウトプット」にどれだけエネルギーを注げるかで結果は変わってきます。

ここでのアウトプットは、リアルトレードを意味するのではなく、統計的な数字を集めることを目的とした検証作業のことを指します。誤解を恐れずにいえば、FXは検証さえすれば勝てるようになります。逆にいえば、検証をせずに勝っている人を私は見たことがありません。

FXはどうしてもお手軽に稼げるみたいなイメージが先行しがちで、まともなインプット学習すらしない人が大半です。ましてや地味で面倒な検証作業となると継続的にできる人はさらに少なくなります。だからこそ、そこで差がつくのです。

私自身もインプット学習ばかりしていた頃は、相場をわかった気になりつつ、なぜか一向に勝てないという日々が続きました。私が勝てるようになったのは、検証をしてからです。

検証を通じて自分のトレードがどういうものなのかを数字で明確に認識できるようになり、実際のトレードも自信を持って取り組むことができるようになりました。

この「先に結果が出ることがわかっている」という感覚がとても重要です。よく「トレードルールを守れません」という悩みを聞きますが、原因の根本にあるのは検証不足です。

想像してみてください。十分な検証を経たうえでのトレードとは、勝率、利益率、平均連勝数・連敗数、最大連勝数・連敗数、最大損失額などがあらかじめわかっていて、「トータルで利益が出る」ことを客観的な数字で認識できている状態で臨むトレードです。ちょっとやそっとの負けで動揺することもなければ、少し連勝が続いたくらいで調子に乗ってしまうこともないと思いませんか?

検証は勝てるルールを作り上げるために必要な作業ですし、そのためにいろいろと試行錯誤する作業です。ですが、真の目的は自分のトレードに対して絶対的な自信を持つこと。そのために検証はしていくものだと個人的には思っています。

「聖杯探し」に走らないために

この考え方は、noteや情報商材などで販売されている手法についてもいえることです。いくらその手法の販売者が高い勝率や利益率を謳っていて、それがウソでなかったとしても、それはその販売者が運用した場合の数字です。あなたは販売者ではありませんし、当然その結果を体感として認識できていません。そのような状態で販売者のトレードルールを信じて運用し続けるということは、普通の人はできません。

むしろ、他人の作ったトレードルールだからこそ、自分で検証してその結果を客観的な数字で把握する必要があります。これをしない人が聖杯探しに走ってしまうのです(私もこれに気づくまで時間がかかりましたが……)。検証は、トレーダーとして大成したいのであれば避けては通れない作業です。ぜひ単発ではなく日々の習慣として検証を行ない、その数を積み上げていってください。必ず検証数が「自信」と「結果」になって表れるはずです。

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未来の「勝ち」をつくる“過去検証”のステップ

トレードの成功を目指すためには、過去検証が欠かせません。この過程を6つの段階に分けて説明します。最終的には自信を持ってリアルトレードに臨むことが目標です。

6つの段階

検証の重要性についてはご理解いただけたと思いますので、ここからは具体的なやり方をお伝えします。

検証は、バックテスト(過去検証)とフォワードテスト(デモトレード)をセットで考えていきます。検証の全体像としては次の6つです。

①叩き台となるトレードルールを1つ用意する

②過去検証を100トレード分

③修正してさらに過去検証100トレード分

④納得できるまで繰り返す

⑤デモトレードで過去検証と同じ数字が出るかを確認

⑥リアルトレードへ進む

ここからは詳しく解説していきます。

①叩き台となるトレードルールを1つ用意する

まずは過去検証をするにあたって叩き台となるトレードルールを1つ用意してください。最初はネットに落ちているものでも構いません。

用意できたら検証をしていくわけですが、過去検証も大きく分けると2つのやり方があります。1つは自分で過去チャートを遡って手動でチャートを移動させながらエントリー、決済のシミュレーションをしていく方法(手動検証)。もう1つが検証ソフトを使って実際にトレードするかのようにエントリー、決済をしていく方法です。

この2つにはどちらもメリット、デメリットがあります。例えば少し特殊な手法やインジケーターを使う場合、検証ソフトでは対応できないことがあり、その場合は手動検証を行なうしかありません。一方の検証ソフトを使うやり方であれば、実際にトレードするかのように行なっていくので手軽に検証ができるうえ、その結果を自動で集計してさまざまな数字やグラフに反映してくれるというメリットがあります。

私自身は、紙とペンを用意して手動で検証を行なうことが多いです。作業をしている感が出て捗りますし、最後の集計も楽しく取り組めるため、同じようなタイプの方は手動で検証することをおすすめします。

まずは自分がやりたい検証ができるのはどちらの方法か。これを最優先に考えるべきですが、検証を習慣にするためにもこういう感覚の部分は大切にしてください。

②過去検証を100トレード分

③修正してさらに過去検証100トレード分

④納得できるまで繰り返す

①の内容を決めたら、次はエントリーと決済のシミュレーションを1回の検証で100トレード分集めてください。これが私の過去検証の基準です。統計的に信頼できる母数として30トレード分でもいいという話も聞きますが、その信頼をさらに積み上げるため、何より自分のトレードに絶対の自信を持つために私はずっと100トレードを1セットとして過去検証を行なってきました。

勝てるようになるまで数にして2000トレード分、その後も検証を続け今では4000回を超えています。

みなさんもここまでする必要があるとは思いませんが、「これくらいやっている人間もいる」ということは頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。

このような形で100トレードを1セットと考えた場合、それで納得してルールが完成したらフォワードテスト(デモトレード)へと進んでいきますが、イマイチな結果であれば、修正してまた100トレード分の過去検証を行なっていきます。

この際、修正は必ず1か所、多くても2か所に留めてください。一度に複数箇所を修正してしまうと、どこが良いのか悪いのかの判断ができず、検証としての機能を果たさなくなってしまいます。

検証結果を集計する際に必要な項目は、勝率、リスクリワード、平均連敗数、最大連敗数、最大損失額などです。あとは必要に応じて集計すればいいと思いますが、ポイントは勝ちよりも負けに関する数字を洗い出しておくことです。人間はわからないから不安になるのであり、最初からわかっていると安心して臨めるという性質があります。これは損失などのマイナス面で特に顕著なので、負けに関する数字はしっかりと把握しておいてください。

そして、この過去検証を繰り返していく中で必要があれば知識のインプットもしていきます。学習の初期段階では右も左もわからない状態だと思うので、とにかくインプットするというのは有効な方法ですが、「あくまでインプットは検証のために行なう」、このように考えておくと無駄なインプットをすることなく、知識に振り回されるということも避けられると思います。

⑤デモトレードで過去検証と同じ数字が出るかを確認

⑥リアルトレードへ進む

このような過去検証を通して納得いくルールが出来上がったらフォワードテストとしてデモトレードをしていきます。

なぜこのような二重の検証をするのかというと、どうしても過去検証と実際の相場での運用では差が生まれてしまうからです。実際の相場では対応できない動きを過去検証では加味してしまっている、といったことはよくあります。それに気づかずにリアルトレードをしたら大変なので、最終チェックとしてデモトレードを挟みます。

デモトレードの期間は自分が納得できるまで、自信を持ってリアルトレードできるまでというのが答えになりますが、目安としては3か月くらいでしょうか。

あくまで最終確認+自信を持ってリアルトレードに臨めるかが基準となるので、仮にデモトレード期間が1年でも長すぎるということはないと思います。ここはシビアに判断するようにしてください。

Hiro
FXトレーダー