福利厚生制度として「家賃補助」を用意している会社も少なくありません。家賃補助は文字通り、賃貸住宅に住む従業員に家賃の一部を補助するための制度ですが、すべての従業員が利用できるわけではなく、条件などが細かく設定されています。

今回は、家賃補助の支給される条件や平均額、そして課税対象となるのか?さらには社宅(社員寮)との違いなど、気になる家賃補助に関する情報を解説します。

家賃補助(住宅手当)とは?


家賃のイメージ
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「家賃補助」とは、会社が従業員に対し、住居に関する費用の一部を支給する福利厚生制度です。会社によっては「家賃手当」と呼ぶこともあります。賃貸を借りて一人暮らしをはじめるなど、一定の条件を満たせば利用できます。支給対象となった場合、毎月の給料と一緒に振り込まれるのが一般的です。

なお、家賃補助は企業が任意でおこなう「法定外福利厚生」にあたり、すべての会社に用意されているわけではありません。支給対象者や支給額などについてのルールも、会社毎に定められています。

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家賃補助が支給される主な条件5つ


マイホームのチェックポイント
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家賃補助のある会社であっても、従業員全員が利用できるわけではありません。家賃補助の支給を受けるには、主に5つの条件があります。

※なお以降で解説する条件は、あくまで一般的な話であり、判断基準は会社によって異なります。

必要性が高い人を優先

前提として、家賃補助の根本的な意義は、従業員間の住宅にかかる支出の差の是正にあります。そのため、新入社員や一定年齢以下の社員など、給料水準の低い従業員を優先して支給する会社が多いです。当然ですが、実家暮らしなどで家賃が発生していない方は、年齢や収入に関わらず利用できないことがほとんどです。

賃貸か持ち家か

家賃補助は、文字通り家賃を補助する制度であるため、従業員がマンションやアパートなどの「賃貸住宅」を借り、その一部を支給する形となるのが一般的です。賃貸でなく「持ち家」の場合は、別途「住宅手当」という形で、住宅ローンの一部を補助している会社もあります。

世帯主であるか

その物件の「世帯主」でないと、家賃補助が受けられないことがあります。

具体的に、以下のような場合は、家賃補助の対象外となることがあります。
・親の扶養に入っており、世帯主(親)の住宅から通勤している
・配偶者の扶養に入っており、世帯主(配偶者)の住宅から通勤している
・同棲をしており、パートナーが世帯主となっている(同棲時の二重取りは禁止)
・一人暮らしを始めたが、住民票を移していない(実家の世帯主が新居の世帯主と判断される)
など

たとえ家賃は自分が支払っている状況であっても、世帯主でない場合は、会社側も家賃補助の支給対象として扱えないことがありますので注意しましょう。

通勤距離の条件

家賃補助には、従業員を会社の近くに住ませ、通勤による身体的負担、事故、費用の削減を狙う目的もあります。そのため「自宅から勤務先までの距離が◯キロ以内の人を支給対象」といった条件を設けている会社も。また、家賃補助を支給した従業員には、その分通勤費の支給が停止されることもあります。

正社員であるか

家賃補助を利用できるのは正社員のみに制限している会社もあります。家賃補助に限らず福利厚生制度全般にいえることですが、雇用形態が契約社員やアルバイト・パートの場合、対象から外れてしまうことが多いです。ただし、2020年度に法制化された「同一労働同一賃金」の影響により、今後は雇用形態に関係なく誰でも福利厚生が利用できる会社が増えていくと考えられます。