ひろゆきが考える「仕事の仕上がりが微妙なとき」の快く直してもらう言い方。賢い人が自然とやっているズルい言いまわし

仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

「振られる仕事が多いので上司の依頼を断りたい」

「プレゼンでもっと説得力を出したい!」

「部下のやる気を削がずにうまく注意したい」

「激怒しているお客さんをうまくなだめたい…」

……そんな状況に直面したとき、どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか?

様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。

◆ダメな納品物を修正させるとき

外注先や取引先からの納品物がイマイチ。「なんか微妙だな……」と思っても、相手に気を使ってハッキリ修正指示が出せない人もいるのでは。特に年上の人が相手だと言いづらかったりする。相手のやる気をそがずに快く直してもらう言い方は?

×ちょっと微妙なので修正してください

○意図を伝えきれなかったので説明させてください

◆相手のミスではなく、「自分の伝え方の問題」にする

 仕事でのダメ出しは案外難しいものです。正当性はこちらにあっても、相手は「自分のやり方が否定された」と感じて不機嫌になることもあります。修正依頼を出すときなどは特にそうですよね。

 こういうやりとりで怒っちゃう人には、クライアントの満足度よりも不機嫌な態度をとることで「作業時間を減らそう」とするタイプもいます。なので、トラブル続きなら思いきって“切ったほう”がいいのですが、自分の判断だけでは切れない場合がありますよね。

 そういう場合の伝え方のコツは、先に謝っちゃうことです。まずは、「最初に明確な意図を伝えきれず、二度手間をかけさせている」という事実を認め、その点を謝るのがいいと思うのですね。自分が伝えたつもりであっても、意図が伝わっていなかったのは事実。そこを認めて「そのうえで意図を伝える」という流れにしたほうが、相手が気分を害す可能性は低くなります。

 続いて直す部分を指摘します。そのときに最もダメな伝え方は、修正理由を明確に伝えないこと。「この部分が微妙で……」などと言われても、相手はなにがどう微妙なのかわかりません。サイトデザインであれば参考サイトを何個も出すとか、「もっと子供向けにしたい」「ピンクは企業イメージと合わない」など判断基準を伝えないと相手をイライラさせるだけです。

 要するに、修正すること自体が相手の気分を害すのではなく、きちんと理由を伝えない言葉選びが気分を害しているのだと思うんですよ。なので、コミュニケーションコストを下げてあげれば快く動いてくれるのではないかな、と。

 逆に、変に気を揉んで曖昧な言い回しになるほうが逆効果です。相手の気持ちを逆なでしないように「もう少し直せばさらによくなりそうなので」など、否定感を弱めたニュアンスで伝える人がいるのですが、これもNG。否定感を弱めて伝えると修正理由も弱くなりますし、とんちんかんな修正版になる可能性すら高くなる。お互いの手間がまた追加で発生します。

◆修正がうまくいかない場合は…

 ただ、どれだけ根気よく伝えても、相手の趣味や主張が強くて修正がうまくいかない……という場合もありますね。そんなとき、例えばウェブサイトならよくないと思う理由を伝えたうえで公開してしまい、実際の反応や数字をもって、「言った通りだったでしょ?」と伝えると次回から発言力が高まったりします。後から修正が利くような仕事であれば、一度試してみるといいですよ、と。

構成/杉原光徳(ミドルマン)

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』