過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年6月14日 記事は取材時の状況) * * *
生涯の伴侶を選ぶなら、「自分よりデキがいい人」「自分の苦手なことを補ってくれる人」と考えている人もいるかもしれない。けれど、「差があり過ぎると、自分が惨めになる可能性もある」と、白木望さん(仮名・41歳)は体験談を話してくれた。
◆美女と野獣だと茶化されたカップル
白木さんは、同じ職場で働いていたS美さん(38歳)と結婚。付き合いはじめた頃から、美女と野獣だと茶化され続けていたとか。S美さんは受付や事務をこなし、営業職への気配りもできる女性で、性別問わず職場で人気があった。
「S美がどうして俺を選んだのかと、同僚や上司から事あるごとにチクチク言われました。僕もそうは思いましたが、告白はS美のほうから。僕が27歳、S美が24歳のときでした。ふざけている様子もなく、罰ゲームでもないようで、気がついたら交際期間1年3か月」
交際しているあいだケンカは一度もなく、白木さんはS美さんの悪い部分をひとつもみつけられなかったとか。そしてついに、結婚。いっしょに住めばS美のだらしないところやダメな部分が見られるかもしれないと期待するほどだった。
◆高評価すぎる妻に、周囲の言葉が鬱陶しく
「でもS美は、人として完璧すぎたのです。最初は、お互い共働きなので、料理や掃除などもすべて分担しようと話していたのに、毎日必ず僕より早く起きて朝食とお弁当を作り、手作りの惣菜まで冷凍してストックを作ってくれました」
キッチンはピカピカ、部屋の隅々にはホコリなど一切ない。しかも、何もかもあっという間に終わらせてしまうのだ。そんなS美さんは、会社でもプライベートでも周囲から高評価。結婚してからしばらくは、鼻高々だった白木さん。
「でも、だんだんと『あんないい奥さん、ほかにいないぞ』『お前もしっかりしろよ』などという周囲の言葉が鬱陶しく感じるようになっていきました。いつもS美と比べられているような、そんな感じ。劣等感のようなものが積み重なっていきました」
◆職場にナイスバディの新人が入社して…
そんな白木さんが35歳のとき、職場にナイスバディの天然女子・N菜さん(22歳)が入社。しかも、なぜかまとわりついてくる。どうやら年上好きなN菜さんに頼られ、白木さんもまんざらではなくなっていった。そして、「白木さん、ご飯、連れて行ってくださいよ~!」を実行。
「N菜は20代前半だからなのか、天然だからなのか、知らないことが多かったです。そのため、仕事をするうえでのノウハウのほか、うんちくを長時間にわたって語りました。どちらも、S美の前では絶対にできないこと。正直、気持ちよかったです」
N菜さんの猛烈なアプローチもあり、数回ご飯に連れて行ったあとは勢いでベッドイン。大人っぽいS美さんとは違い、童顔なのにナイスバディなN菜さんとの行為はかなり興奮したのだとか。制服やナース服を着てもらうなど、S美さんとはできないプレイも楽しんだ。
◆「このままでは嫌だ。奥さんと別れて」
「でも、楽しかったのは半年ぐらいでした。N菜がグッと距離を詰めてきて、『このままでは嫌だ。奥さんと別れて』などと言いはじめたのです。しかも、同じ職場のS美が近づいてきたタイミングで甘えた声を出したりボディタッチしたりするなど匂わせるようになりました」
N菜さんのSNSには、いっしょに食事に行ったときに隠し撮りした白木さんの上着やカバンなどの写真がアップされるように。会社ではS美に挑発的な態度もとるようになり、「わざとなのかバカなのか、このままではヤバイ」と、白木さんは別れを告げることにします。
◆慰謝料代わりにまとまったお金を払え
「するとN菜は、慰謝料代わりにまとまったお金を払えと言ってきました。その額500万。いままでN菜との関係にかかるお金は、出張や飲み会で必要だと嘘をついてS美からもらっていました。なので、そんな莫大なお金はありません」
事情を話すとN菜は逆上し、「白木さんに弄ばれた」と職場に流布。そのせいで関係がバレてしまったのだ。これにはS美も大激怒。離婚の話し合いとなった。白木さんはそのとき、「S美さんといっしょにいると窮屈で惨めだった」と、はじめて伝えている。
「するとS美は涙を流し、『完璧にこなさなきゃいけないと思ってしまうのは、私の悪いクセ。だからこそ、いつも自然体でいてくれる望のことを好きになったし、好きだった。望のこと、苦しめてごめん』と、こんな僕に謝ってくれました」
◆やり直したいと懇願するも…
白木さんは「自分のしょうもないプライドのせいでS美を傷つけた」と心から後悔し、やり直したいと懇願。何度も何度も謝罪したが、世の中そんなに甘くはない。「浮気するような人とは、どうしても無理」と言われ、捨てられてしまったのだとか。
会社では居心地が悪くなったばかりか、上司たちに問い詰められ、左遷。白木さんは、「もっと早く、自分の苦しい気持ちを打ち明けるべきだった」と話してくれた。大きな格差が原因で溝ができたとしても、早い段階で話し合えば解決することもあるかもしれない。
<TEXT/夏川夏実>
【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5