中年管理職は知らない「若手社員が辞めない会社」に共通する3つの特徴

 泉澤恵一朗と申します。20代専門の人材紹介サービス会社を経営するかたわら、若い世代の仕事観に関する情報を発信しています。

 これまで2000人以上のキャリア相談にのって、転職支援をしてきた中で、新入社員が辞めたがる会社と新入社員が活躍する会社の違いを見てきました。

◆若手社員が辞めない会社には共通点がある

 若手社員が辞めない会社には3つの共通する特徴があります。

 そして、この3つの共通点は若手社員がただ辞めないだけではなく、活躍することにもつながっていると感じています。

 つまり、社員流出に困っている会社があれば、これからお伝えする内容を自社に取り入れることで事業成長につなげることができるわけです。

◆特徴①「成長実感のある組織」

 まず、新入社員が職場に求める最も重要な要素の一つは、スキルと経験が成長していることを感じられる環境であることです。しかし、どのようにすれば「この会社なら自分のスキルや経験を伸ばせる」と実感できるのか。これについて効果的な担当・評価体制の構築方法について掘り下げます。

 成功する会社は、明確で透明性のあるキャリアパスを提供しています。自分が目標達成すれば次にどのような仕事にチャレンジできるのかを具体的に理解できることが何より重要なのです。「この目標を達成したら、次はこのプロジェクトを任せる」というように、段階的な成長が見える化されることが、モチベーションの持続につながります。

 特に成果を出している若手社員には、早くから部下を持たせ、小規模ながらもチームのリーダーシップを経験させることが重要です。そうすると、実務の中で教育やマネジメントスキルを磨きながら、自己肯定感も高まります。

◆「月1回の1on1面談」の重要性

 会社として失敗を許容し、新しいことに挑戦する文化を育むことで、若手社員が新しいスキルを恐れずに試すための安全な環境を提供できます。

 また、一人ひとりに対する丁寧な面談は、若い世代にとって非常に価値があります。毎月の業務を意識的に振り返ることで仕事の進め方を改善できるだけではなく、個々の意見や希望を集める貴重な機会になります。また、自分の声を聞いてもらえる、大切にされていると感じることは組織への帰属意識と満足度を高める上でもとても大切なことです。

 このように、会社として若手社員にチャレンジの機会を与えることと、それについて放ったらかしにせずにきちんと向き合いフィードバックを与えることが重要です。

◆特徴②「SNS映え」


 若い世代を引きつけ、定着させるためには、職場環境が「SNS映え」することが重要です。この世代は日常的にSNSを利用しており、職場の魅力を直接、友人と共有します。

 したがって、職場が視覚的にも魅力的であることが、彼らが企業に魅力を感じ、長く留まる理由になります。では、職場をSNS映えする場としてどのようにデザインし、整えるかについて掘り下げたいと思います。

 マンションの一室や雑居ビルの一室をオフィスにしている会社も多いですが、オフィスを選ぶ上で日当たりほど重要なものはありません。内装はいつでも変えられますが、日当たりは変えることができません。

 大きな窓のついている部屋や、周りに遮るもののないひらけた土地が良いでしょう。今はおしゃれなシェアオフィスも増えてきて、高いお金を出さなくても広くて明るいオフィスを借りることができます。

◆ホームページと社内イベントもSNSを意識

 一見、無駄なように思えますが、観葉植物を置くこと、消臭剤や芳香剤を置くことなど、自然と写真を撮りたくなるような場所にすることも大切です。

 また、フリーアドレス制を取り入れることで、個人の所有物がデスクに溜まることを防ぎ、常に清潔な職場を維持できます。

 会社のホームページは、訪問者に対して会社のイメージとエネルギーを伝える重要なツールです。フリー素材に頼るのではなく、実際に働くメンバーの活動やオフィスの日常を映し出す写真を用いることで、訪問者に対してよりリアルで魅力的な企業イメージを提供します。

 社内イベントも、季節ごとに計画し、特にアウトドアや動的な活動を取り入れることで、SNSでの共有価値を高めることができます。自然豊かな場所でのコテージやバーベキューは、非日常的な体験としてSNS上での注目を集めやすく、参加者の満足度も高まります。

◆特徴③「仲間意識を共有」


 若い世代にとっての職場は、ただの勤務地ではなく、彼らが社会に貢献し、意義ある仕事を行っていると感じることが重要です。

 特にこの世代は、自己実現とともに仲間との結束感を重視するため、企業は従業員が共に成長し、一体感を感じられる環境を整えることが必要。では、若い世代が「この会社なら、仲間とともに社会に貢献できる」と感じるチームづくりの戦略を掘り下げたいと思います。

 会社としての大きな目標に、全員が一丸となって取り組む意識は、強固なチームを作る基盤となります。会社の目指す方向性を共有し、メンバーそれぞれがどのように会社の目標に貢献できるかを考えることが、帰属意識と仕事へのモチベーションを高めます。

◆三方よしの精神を含んだサービス設計を

 若い世代は、自分の行動が他者や社会にポジティブな影響を与えていることを重視します。「三方よし」の精神は、自分にとっていいこと、相手にとっていいこと、世の中にとっていいこと、この三方面において利益をもたらす考え方です。

「できる社員には早くマネジメント経験を積ませるのがよい」と先ほども説明しましたが、こうした若いチャレンジを成功に導くことも上司やチームの役目だといえます。

 萎縮してしまってはいい成果は出ません。メンバーが失敗を恐れずにイキイキと挑戦し続けるためには、できたことに対して承認してあげる社風をつくることが一番です。

 このように、若い世代が「この会社なら、仲間とともに社会に貢献できる」と感じさせることができるチームづくりは、彼らが長期にわたって企業に留まる要因となります。

 上の世代の方から見ると「若者は理解ができない」と感じてしまうかもしれませんが、実は求めているものはシンプルなのです。ぜひ意識して、これからの接し方を見直してみていただければと思います。

【泉澤恵一朗】

20代専門転職アドバイザー、株式会社デザイナー代表取締役CEO。1995年、大阪生まれ。キャリアアドバイザー兼ヘッドハンターとして過去2000人ほど、就活・転職相談に従事している。特に20代のキャリア支援には定評があり、26歳という若さで2022年には西日本ベンチャー100に選出される