米副大統領カマラ・ハリスのベージュのスーツに込められた深い意味

副大統領カマラ・ハリスの2024年民主党全国大会（DNC）の衣装は、単なる「ベージュのスーツ」以上の意味を持っている。

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彼女のルックは、オバマ大統領と「ココナッツの木」の両方に言及している。

カマラ・ハリス副大統領がやろうとしていることのひとつは、服装でメッセージを送ることだ。2024年民主党全国大会の初日、大統領候補はクロエがデザインしたシングルのパワースーツを着用してステージに立った。シンプルなデザインでありながら、彼女の衣装には象徴性とほんの少しの“あおり”が込められていた。そもそもラグジュアリーなファッションブランド、クロエは、ハリス氏が着用したパンツスーツの色を「ココナッツ・ブラウン」と呼んでいる。木から落ちたのか落ちていないのかわからないが。

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編集部注
※2023年5月、ホワイトハウスのイベントでのスピーチで、亡き母にしかられたときの言葉を引用したハリス氏。「最近の若い人たちはどうしたのかしら。ココナッツの木から突然落ちてきたとでも思っているの？」と言われたと笑いながら話し、人はひとりで生きているのではなく、「自分が生きているすべての状況と自分の前にあったすべての“文脈”の中に存在している」と説明したことが、今回の大統領選でふたたび話題に。以来、ココナッツの実の絵文字は、ハリス氏への支持を表す記号として使われている。

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ココナッツの色はさておき、ハリス氏の民主党全国大会の服装にはもっと関連した「文脈」がある。パンツスーツそのものが、長年にわたって女性のエンパワーメントのシンボルとなってきた。今回のスタイルは特に、クロエのクリエイティブ・ディレクターである女性デザイナー、チェメナ・カマリによって制作されたものだ。

ハリス氏はリボンタイのブラウスを合わせることによって、その想いをさらに一歩深めた。その名の通り、とてもフェミニンなリボンのスタイルは少女時代と密接に関連しており、政治家たちが受け入れることはめったにないものだ。しかし、女性の権利と身体の自立を率直に主張する彼女にとっては、信念を物語る選択である。

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彼女のジュエリーもまた重要だ。ハリス氏は、自身がかつて所属した女子学生の社交クラブであるアルファ・カッパ・アルファ（AKA）へのオマージュとして、選挙集会では通常、パールを身に着けている。副大統領は学部生としてワシントンD.C.のハワード大学に在籍し、歴史的に黒人の多い同大学への支援を示し続けてきた。

今回のルックの背後にある力強い感情に加え、このファッションの選択は政治的な呼び戻しのようなものであり、対立候補への皮肉のようなものでもある。2015年を振り返れば、バラク・オバマ元大統領が記者会見で淡い茶色のスーツを着用していたことで、共和党から批判されたのは有名な話だ。特に2014年の中東情勢に関する記者会見でのことである。この選択は、政党全体を机上の空論を唱えるようなファッション専門家に変え、いわゆる政治スキャンダルの不条理な前例を作った。

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編集部注
※当時オバマ元大統領が着用していた軽やかな色のスーツが、深刻な問題について述べる場にふさわしくないと複数のメディアが報じ、賛否両論が巻き起こった。

ハリス氏のクロエのベージュスーツは怒っているフリをする人々にとって、少なくとも1週間は政治的なネタになるだろう。バラク・オバマの大統領就任から何かを学んだとすれば、些細（ささい）なことへの過剰反応で、大きな政治的問題にすることができるということだ。

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しかし、芝居がかった演技や泥仕合はさておき、副大統領のパンツスーツは2024年の大統領選挙キャンペーンを力強く、歴史的な形でスタートさせるものとなった。

translation & adaptation: Akiko Eguchi

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