日本の社会問題…高齢者の身に起きる、孤独死の実態

「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)」を見てみると、ひとつの特徴があります。

それは、女性の単身世帯の場合、年齢が上がるにつれて亡くなる人数も増加するのに比べ、男性の単身世帯では70~74歳で亡くなる人の割合が最も多いという点です。

70~74歳というと、現役を引退し社会との接点が無くなってから数年で、日本人の平均寿命から考えても早すぎるように感じられます。

男性のほうが孤独死が多い理由として、

・生活力がない

・近所付き合いがない

・人を頼れない

などが挙げられます。

生活力がなくて家事が苦手なままだと衛生状態や健康状態が悪化し、突然死のリスクが一気に高まってしまいます。

さらに、会社員生活がこれまでの人生の大半を占めている場合、肩書きや上下関係、損得などのないフラットな付き合いを築いていくのが苦手な傾向にあります。また、仕事などで頼りにされてきた経験が多いほど、余計なプライドが邪魔をして人に弱みをみせられず、何かあっても誰にも相談できない場合も多いのです。

もちろん経済的な困窮も孤独死の要因になりますが、Aさんの事例からもわかるように、生活に必要な老後資金があるから安心ということでもないといえるでしょう。

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自分や家族の「孤独死」を防ぐには

孤独死を避けるには、

・経済的に困窮しないこと
・心身ともに健康であること

これらのバランスが大切です。

老後、経済的に困窮しないためには、まずは現役時代から自分が年金をどのくらい受け取れるのかしっかり把握しておくことが大切です。ねんきん定期便は毎年誕生月に郵便で届きますので、定期的に確認するようにしましょう。

そのうえで、家計簿をつけ支出を把握すること、iDeCoなど節税しながら老後資産を増やすことも心がけたいところです。

また、心身ともに健康でいるためには、人との交流が欠かせません。

Aさんの長女は、Aさんと頻繁に連絡を取るようになれば、Aさんの小さな異変にも気づきやすくなるかと思います。

また、なるべく外出することを心がけ、地域のコミュニティに積極的に参加することもおすすめします。

ただ、そうはいっても気軽に交友関係を広げられない……そのような場合は、65歳以降も適度に仕事をするのがよいのではないでしょうか。人とのつながりも生まれますし、収入も得られて一石二鳥です。

健康に不安がある場合は、自治体や民間の見守りサービスや食事の宅配サービスを利用することも検討しましょう。