近年、女性の社会進出が進み自らのアイデアやスキルを活かして起業する女性が増えています。しかしその道のりは決して平坦ではなく、多くの女性起業家が直面する大きな課題の一つに「資金調達」があります。今回は女性起業家が直面する資金調達の壁と、それを乗り越えるために活用できる補助金や支援制度についてみていきましょう。

女性起業家が直面する資金調達の壁


計算する女性
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金融庁が2022年に公表した「スタートアップエコシステムのジェンダーダイバーシティ課題解決に向けた提案」によれば、日本ではスタートアップの資金調達上位50社のうち、創業者か社長に女性が含まれる企業が手にした調達額はわずか2%しかありません。

なぜ多くの女性起業家が資金調達に苦労するのか、その理由として主に以下のようなことが考えられます。

ネットワークの不足

ビジネスの世界では、人脈やコネクションが重要な役割を果たします。しかし、女性は男性中心のコミュニティに参加する機会が少なく、投資家や支援者とのつながりを築きにくい状況にあるといえるでしょう。また、女性同士が励まし合うコミュニティが不足していることも要因の一つと考えられます。

固定観念や偏見

残念ながら女性起業家に対する固定観念や偏見は依然として存在します。「女性は事業を長続きさせられない」「家庭との両立は難しい」といった先入観が、投資家や金融機関の判断に影響を与えているケースも少なからず存在するでしょう。

自己資金の不足

一般的に女性は男性に比べて貯蓄額が少ない傾向にあり、その背景として賃金格差や育児・介護による就業中断などが影響していると考えられています。そのため、事業立ち上げ時の自己資金が不足し資金調達に苦労しがちです。

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女性起業家だからこそ利用できる制度も多い


ビジネス制度
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資金調達の壁に直面する女性起業家を支援するため、さまざまな補助金や支援制度が用意されています。以下に代表的なものをいくつかご紹介します。(※2024年7月時点の情報となります)

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、東京都内の商店街の活性化を目的として東京都中小企業振興公社が運営する助成金のことです。店舗の工事費など経費の一部が助成され、開業初期の費用負担軽減となる支援を受けられます。

■対象者

女性または年度末時点で39歳以下の男性
創業予定の個人あるいは個人事業主であること
申請区分が開業であること
申請者が店舗の事業に専ら従事できること
申請時点で都内に限らず実店舗(※)を持っていないこと

※「実店舗」とは、現物を手に取ることができ、一般消費者に対して商品やサービスが常に提供可能な家屋を指す。

男性と異なり、女性起業家であれば年齢を問わずに申請ができるため、東京都内の商店街で開業を考えている場合には検討してみるとよいかもしれません。

女性、若者/シニア起業家支援資金

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、政府系金融機関である日本政策金融公庫が運営する融資制度です。資金の使い道が、新たに事業を始めるための資金か事業開始後に必要とする資金に限定されている、といった特徴があります。

■対象者

女性または35歳未満か55歳以上の人であって、 新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人(※)

※新たに事業を始める場合は適正な事業計画を作成しており、かつ当該計画を遂行する能力が十分にあると認められる人が対象となる。

こちらも女性であれば年齢に関する要件は設けられていないので、創業時に融資を受けたいと考えている場合には利用を検討するのも選択肢の一つです。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金(一般型)は、全国商工会連合会による働き方改革や賃上げなど、小規模事業者が解決すべき課題に取り組む際に必要となる費用を支援してくれる補助金のことです。補助率は対象経費の2/3で、上限額は1事業者あたり最大で50万円となっています。

■対象となる事業者

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員数5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下
製造業・その他:常時使用する従業員数20人以下

その他詳細な要件については、公式ホームページでご確認ください。

女性起業家向けコンテスト

昨今では「女性起業チャレンジ大賞」や「DBJ女性新ビジネスコンペティション」など、女性起業家を対象としたビジネスプランコンテストも増えています。優秀な事業プランには賞金や支援が提供されるだけでなく、コンテストによってはメディアへの露出やネットワーキングの機会を得られるケースもあります。