若者の「見えない貧困」が広がっている。旧来型のネカフェを根城にするケースだけでなく、「限界シェアハウス」が増えたことで路上生活をせずともその日暮らしを続けていけるからだ。
人手不足で就職市場は空前の売り手市場と言われているが、若い人材が引手数多な一方で、貧困から抜け出せない若者も多い。そして、彼らの多くは“親ガチャ”を理由に世代を超えた負の連鎖を断ち切れずにいる……。そんな過酷な環境で暮らす若者を徹底取材。「忘れ去られた若者たち」にスポットを当てる。
◆顔と名前を売るためには何でもやった
不適切ポスターが問題視された先の東京都知事選。なかでも「ほぼ全裸ポスター」には批判の声が巻き起こったが、この被写体を務めていたのが、モデルとして活躍する桜井MIU氏だ。
実は彼女、8年前に週刊SPA!の貧困特集に登場。「ワーキングプア・アイドル」として力強く生きる姿が綴られていた。
「当時は上京したばかりで仕事もお金もなく、バイト先の倉庫で暮らしてました。個人撮影会や過激なDVD販売、イベント出演など、顔と名前を売るためには何でもやりました」
◆どんな仕事も断らなかった結果…
どんな仕事も断らない――。極貧生活で培ったそんな彼女のポリシーが、今回のポスター騒動では裏目に出た。
「オファーが来たから受けただけなのに殺害予告も来ました。お騒がせしたことは謝りますが、こういうピンチのときこそ新しいことを始めなきゃとも思っています」
平均月収3万円のワーキングプア・アイドルから脱却し、現在、月に約50万円稼げているのは、彼女が明確なビジョンを描けていたからだ。
「目標を定め、そこから達成への道筋を逆算し、自分の行動を決めていく。叶わなそうな大きな目標でもいいんです。プランを立てれば目先の利益だけにとらわれずに広い視野で見られる。選択肢も広がって、多少のハプニングが起きても軌道修正できますから。その考え方の変化が貧困を抜ける大きな転機になりました」
実は今回の騒動を機に、政治の勉強を始めたという。
「もし私が政界に進出するなら、小学校から専門教育を導入して、若者の才能が買い叩かれない世の中にしたいです」
貧困経験がある彼女の言葉にも耳を傾ける必要がある。
【グラビアアイドル 桜井MIU氏】
グラビアアイドル。アイドルユニット・Devilsisのメンバーとしても活動している
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[親ガチャ貧困]の実態]―