加速する社会の高齢化。「年金が減ってしまう」という情報を耳にしたことのある人も多いと思います。『モンゴルがいま熱い! モンゴル不動産投資をおススメするこれだけの理由』(WAC)の著者である安藤義人氏は、これからも物価上昇は進み、日本は高齢化社会を超えた「超高齢社会」になるといいます。本稿では、これからの日本社会とその不安への対策について、解説します。

インフレに負けない資産を持つ

2024年に入ってスタートした新NISAをきっかけにして、資産運用の関心が高まってきています。それは、とても良いことではないかと私は思います。なぜなら、今後は間違いなく、誰にとっても資産運用が必要になるからです。

なぜでしょうか。それは世の中が、デフレ経済からインフレ経済へと転換していく可能性が高まってきたからです。

恐らく2024年は、物価の上昇圧力が少し緩むでしょうが、デフレからはほぼ脱却し、年2%前後の物価上昇率が当たり前になるでしょう。

そもそもお金を運用することの一番の目的は、インフレリスクをヘッジすることにあります。たとえば物価が2%上昇したとしましょう。この間、預金の利率が0%だとしたら、実質金利は2%上昇です。

つまり全財産を預貯金で運用していたとすると、年2%、お金の価値が目減りします。

実際、2022年から2023年にかけて物価が大きく上昇したことにより、全財産を預貯金に預けていた人たちは、まさにこの状況に陥りました。

いささか古いデータになりますが、2023年7月の消費者物価指数は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の前年同月比が4.3%でした。

つまり1年間で、物価が4.3%上昇したことを意味するのですが、2022年7月から2023年7月までの1年間、銀行の定期預金で運用した場合に得られる利息がいくらかというと、メガバンクで年0.002%です。

ということは、この1年間で預金に預けていた分の資産価値は、4.298%も目減りしたことになるのです。

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資産運用が避けられない世の中に

このように、インフレが進むとお金の価値自体はどんどん目減りしていきます。資産運用をする最大の目的は、このリスクをできるだけ回避するかなのです。

したがって、資産運用の際には、インフレ率を超える期待利回りの得られる金融資産、もしくは実物資産を保有する必要があります。

もちろん、デフレがこれからも進むのであれば、いちいち資産運用などする必要はありません。

日本は1991年からのバブル経済崩壊後、長らくデフレ経済が続いたわけですが、この間、金融庁が「貯蓄から投資へ」という旗を振り回してもまったく反応がなかったのは、世の中がデフレだったからです。

結果的に、多くの人々は、合理的な判断を下していたということです。でも、これからの時代はそうも言っていられなくなりそうです。

たとえばいま、日本ではさまざまなところで道路や橋、トンネル、下水道、ガス管などのインフラが老朽化し、その補修に多額の物資や資金を必要としています。老朽化対策資金だけでも、今後50年間で450兆円という試算もあるくらいです。

これだけ莫大な金額のお金が必要になり、それがインフラを補修するために必要な物資の購入に充てられれば、黙っていても物価は上がります。

加えて海外に目を向ければ、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区攻撃、米中経済戦争など地政学的リスクが高まっており、特に西側先進諸国はサプライチェーンの見直しに迫られています。

これまで世界の工場として、安く大量の労働力を調達できた国での生産を、一部とはいえ諦あきらめなければならないとなれば、これも物価に影響を及ぼすことになるでしょう。

国内外でインフレ要因が強まってきている以上、物価が継続的に下落するデフレ経済に戻ることは、もう考えにくいと思った方が良さそうです。

だからこそ、自分自身の財産を守るのに、資産運用をしっかり行うことが肝心です。