フランクリン・テンプルトン・インスティテュート/チーフマーケットストラテジストのスティーブン・ドーバーは、最近の米国経済指標を受けて市場が動揺しているものの、米国経済が景気後退に向かっていると断定するのは早計だと指摘しています。ドーバーは、最近の市場の動きと、今後予想されるFRB(連邦準備制度理事会)の利下げがもたらす希望の光について、自身の見解を述べています。
※本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2024年8月5日に配信したレポートを転載したものです。
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市場の乱れ-投資家への影響
ここ数日で市場は混乱し、世界の株式指数、債券利回り、商品価格が急落しました。フランクリン・テンプルトン・インスティテュートは、市場状況とファンダメンタルズを注視しています。
全世界の地域と主要資産クラスにわたり、当社のストラテジストとアナリストのチームが一堂に会し、これらの動きが投資家にとってどのような意味を持つのかを分析しました。以下に、当社の見解を簡潔にまとめます。
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グローバル株式
年初来、当社は米国株式市場の評価が過大で、悪材料に対する耐性がほとんどないと警告してきました。当社が設定したS&P500種株価指数の年末目標値は5,250ポイントで、8月5日朝の始値をわずかに上回る水準でした。現在も引き続き慎重な見方を維持しています。
過去の経済減速期の分析に基づくと、このような局面ではグロース株がバリュー株を上回るパフォーマンスを示し、質の高い(クオリティ)銘柄への投資も理にかなっていると考えています。特に小型株を中心に、企業業績が市場予想を下回る可能性を懸念しています。
ただし、市場が混乱している時期には、ポジショニングやモメンタム、定量的取引が市場の動きを左右する可能性があることも認識しています。株式インプライド・ボラティリティは急上昇しました(VIX指数は今朝65まで上昇し、4年ぶりの高水準に達しました1)が、市場の混乱はまだ収まっていない可能性があります。
いずれ投資機会は訪れるでしょうが、超長期の投資家を除いては、現時点で割安さを探し求めるのは早すぎると考えています。
米国以外の市場はさらに大きな打撃を受けており、日経平均株価は12%以上下落し、過去2番目に大きな下落率を記録しました。これは、大幅な株価調整や弱気相場の局面では、地域やセクター、投資スタイルの分散投資によって株式投資のリスクを軽減することがほぼ不可能であることを改めて示しています。
投資機会は必ず訪れますが、当社の見解では、現時点で押し目買いを入れるのは時期尚早だと考えています。