ファンダメンタルズ

最後に、ファンダメンタルズに関する当社の見解をいくつか付け加えます。

米国の景気後退リスクが明らかに高まっており、これは市場価格の急激な変動に表れています。失業保険申請件数の増加、7月の雇用統計の悪化、製造業の縮小傾向など、一連の経済指標の悪化が市場の見方を一変させました。

しかし、他の経済指標はそれほど悪くありません。例えば、最新の非製造業部門の景況感指数(ISM非製造業指数)、第2四半期の米国GDP速報値、小売業界からの情報などは、比較的良好な状態を示しています。

当社の見解では、米国経済が景気後退に向かっていると断定するのは時期尚早です。とはいえ、景気がより顕著に減速しただけでも、現在の過大評価された株式市場では想定外の企業業績の悪化につながる可能性があります。

FRBは9月以降、確実に利下げに踏み切るでしょう。9月のFOMC(連邦公開市場委員会)では0.50%の利下げが市場で予想されており、定例会合の間の「緊急」利下げの可能性も否定できません。投資家は、FRBの政策の手掛かりを得るため、8月にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるFRBの会合に注目するでしょう。

歴史的に見ると、FRBが利下げを開始した後の1年間、株式市場は上昇する傾向にあります。これは景気後退の有無にかかわらず当てはまります。景気後退期に初めて利下げが行われた後の1年間の平均リターンは4.98%であるのに対し、景気後退を回避した時期では16.66%となっています4。ただし、景気後退期には最初の利下げ後の下落幅が大きくなり、平均最大下落率は20%に達したのに対し、景気後退を回避した時期では5%にとどまりました5。

世界的に見て、景気後退が起きた場合に経済を救う「白馬の騎士」は存在しません。中国は15年前の世界金融危機時のような大規模な景気刺激策を実施する意思をほとんど示していません。欧州と日本も同様に、世界経済の「機関車」としての役割を果たす意思も能力も持ち合わせていません。また、米国では選挙の年であることから、迅速な財政出動も期待できません。

このようなグローバルな制約要因を考慮すると、FRBが利下げに踏み切るという好材料が出ても、市場の反応は鈍くなる可能性があります。

【文末脚注】

1. CBOEマーケット・ボラティリティ・インデックス(VIX)は、S&P500株価指数オプション価格に反映される短期的なボラティリティに対する市場の期待を測定します。「恐怖指数」とも呼ばれ、低い数値はリスクが低いと認識される環境を、高い数値はボラティリティが高い期間を示唆します。指数は運用されておらず、直接投資することはできません。また、手数料、経費、販売手数料は含まれていません。
2. ここでの「キャリートレード」は、日本円を借り入れて、より高利回りの通貨に投資することを指します。
3. 出所:CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)。2024年8月5日時点。予想、見通し、または予測が実現する保証はありません。
4. 出所:NBER、セントルイス連邦準備銀行、DJII。フランクリン・テンプルトン・インスティテュートによる分析。1972年1月1日から2024年7月31日まで。指数は運用されておらず、直接投資することはできません。過去のパフォーマンスは将来の結果を示唆または保証するものではありません。
5. 同上。

【リスクについて】

すべての投資には、元本を割り込む可能性を含むリスクが伴います。

債券には金利リスク、信用リスク、インフレリスク、再投資リスクがあり、投資元本を割り込むことがあります。金利が上昇すると、債券の価値は下落します。低格付けのハイイールド債は、価格の変動が大きく、流動性が低く、デフォルトの可能性が高くなります。変動金利ローン/債券は、通常、投資適格未満の格付けであり、債務不履行のリスクが高く、その結果元本を割りこむ可能性があります。

グローバル投資は、為替変動や社会的、経済的、政治的な不確実性を含む様々なリスクの対象となり、ボラティリティを高める可能性があります。これらのリスクは新興市場ではより大きくなります。ポートフォリオが特定の証券、地域、または産業に集中して投資する限りにおいて、ボラティリティが増加する可能性があります。

オルタナティブ戦略によっては、流動性が限られており、投資額の全額を失う可能性があり、こうしたリスクに耐えることができる投資家にのみ適しています。主に非公開企業に焦点を当てた投資戦略は、公開企業への投資と比較して、これらの企業に関する利用可能な情報の不足や一般的な流動性の欠如など、特定の課題とリスクを伴います。

分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防ぐものでもありません。

アクティブ運用は、利益の保証または市場の下落からの保護を保証するものではありません。

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