日本の夏の風物詩と言えば、夜空に咲く大輪の花火。そんな花火をイメージした花壇を、ガーデンの一角や玄関先のプランターで作ってみませんか? ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、今おすすめしたい花と、夏のガーデンエピソードをご紹介します。テーマを決めた花壇作りに必要なものは、ちょっとした想像力だけ。少し涼しくなった夏の終わりに、花火のような花々を組み合わせて楽しんでみましょう!

花壇に夏の花火を再現! おすすめの宿根草や一年草


ノイシュバンシュタイン城と花火の競演。Dmytro Balkhovitin/Shutterstock.com

日本では夏の風物詩である花火。アメリカの独立記念日「Fourth of July(7月4日)」も、国中で花火を打ち上げて祝います。アメリカ国旗の赤・青・白が翻る日ですね。

一方のドイツでは、花火といえば12月31日、ドイツ語でSilvester(ジルヴェスター)と呼ばれる大晦日です。そのため、私が想像する花火と言えば、日本とは対照的に、みんながコートを着込み、手袋をはめて眺めている様子が思い浮かびます。最近では、ドイツでも夏の花火が見られるようになってきましたが、花火を打ち上げるには特別な許可が必要で、北ドイツの小さな島では、一年中花火を許可していない場所もあります。


フランクフルトの大晦日を彩る花火。mapman/Shutterstock.com

このように、花火については国ごとにさまざまなルールがありますが、日本ではやっぱり夏のイメージ。暑かった夏の終わりに、あなただけの「花火風」ガーデン&バルコニー演出を考えてみませんか? ここでは、花火に見立てられる花が楽しめる、育てやすいおすすめ植物を紹介します。

センニチコウ


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乾燥した日当たりのよい場所におすすめのセンニチコウは、球形に密集した小花を咲かせます。花色のバリエーションは豊富で、よく流通しているピンクや白のほか、赤、紫、オレンジなどが販売されています。特に赤花の品種は、線香花火のイメージにぴったり。小さな玉になって落ちてきて、突然パッとさまざまな方向にきらめく…日本では誰もが知る儚く愛らしい花火ですね。

アリウム


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長い花茎を伸ばし、高さ1.5mまで成長するアリウム・ギガンチウムは、花壇の主役となる存在。濃い紫色の散形花序は生き生きとしていて、近くから観察しても面白いですよ。すっと伸びた茎の先に大輪の丸い花を咲かせる様子は、長く尾を引きながらのぼる打ち上げ花火のようです。アリウムの代表的な種であるアリウム・ギガンチウムは春に花が咲き、秋に植えどきを迎える球根ですが、アリウムにはさまざまな種類があり、夏咲きのタイプもあります。個人的には、小型のアリウムが好みです。


Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

数ある品種の中でも、花火風ガーデンにおすすめなのは、アリウム・シュベルティ。大輪の花序の外側に小さな星形の花が咲き、まさしく打ち上げ花火といえるビジュアルです。

アガパンサス


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長い茎の先に、まるで青や白の花火のような花を咲かせるアガパンサス。日向を好みますが、環境適応力が高く、明るい日陰でも栽培できます。幅広いサイズがあるので、目的や場所に適したものを選ぶとよいでしょう。葉の形状も重要で、コンパクトなものであれば、省スペースで栽培できます。


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ルドベキア&エキナセア


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ルドベキアやエキナセアも、花火のようにぱっと開いた花姿を持つ植物。どちらも盛り上がった花心を持ち、カラーバリエーションも豊富に揃います。


筒状の細い花弁が面白いルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’も花火らしさ満点の品種。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ここまでご紹介した花のほか、アスターやクリサンセマム、ダリアもおすすめ。これらは非常に種類豊富なので、ぴったりの品種や花色を選ぶのが大切になってきます。ほかにも花火のような姿を持つ花はたくさんあり、どれを選ぶかはあなたの想像力次第。ぜひ、自由な発想で楽しんでみてはいかがでしょうか。


Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

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夏の終わりは台風にご用心


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この記事を執筆中の現在、我が家の庭はちょっと寂しい景色。台風が次々にやってきて、大雨と強風がその威力を遺憾なく発揮していった結果です。台風が通るときには、植物はもちろんガーデンのエクステリアやツールにも注意が必要です。

我が家の庭には、茶色の骨組みにダークグリーンのキャンバス布を張ったパラソルがあります。ハンドルを回して操作できるクランク式なので、開閉時に指を挟む心配もなく、とても扱いやすく収納も簡単な優れもの。このパラソルは、濡れていても乾いていても、紫外線で色あせても気になりませんが、強風時は心配なので家の中にしまうことにしています。

もっとも、パラソルを閉じるのには1分もかからないのですが、パラソルスタンドから引き抜いて2つに分解し、ダイニングにしまおうとするとなかなか大変です。ちなみに、丸いベーススタンドはかなり重く、使用しないときも庭に置いておかなくてはいけません。

強風が予想されるときは、ジョウロの置き場所の確認も忘れてはいけません。私の場合、壁と重たいプランターの隙間に押し込むなど、絶対に動かないような場所に置くことにしています。