1.基本給とは
手当を含まないベースとなる給与のこと
基本給とは、通勤手当(交通費)や時間外手当(残業代)などの手当を含まない、ベースとなる給与を指します。年齢、学歴、経験年数、能力、資格、業績など労働者本人の属性や職務によって決められます。
基本給の決まり方
基本給の決まり方は会社ごとに異なり、主に以下の3種類があります。
属人給型
労働者の年齢や勤続年数などの「属人的要素」で決める方法です。労働者が年齢やキャリアを積み重ねるごとに昇給します。
仕事給型
仕事内容やその難易度、責任の重さなど、労働者が従事する「仕事の性質」に応じて決める方法です。仕事の難易度に応じて基本給の額が設定されます。
総合給型
属人給型と仕事給型を組み合わせて基本給を決める方法です。労働者の年齢や勤続年数などの属人的な要素と、従事する仕事の性質を掛け合わせて基本給を決定します。
tips|基本給が減給になるケース
会社は、正当な理由なく基本給を減らすことはできません。ただし、欠勤・遅刻・早退などで労働しなかった日数や時間分については、差し引かれることがあります。減給の計算方法は、1日の賃金額を算出し、そこから欠勤分の額を差し引く方法が一般的です。
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2.手当、固定給、月給、月収、手取り、初任給との違い
給与に関する項目は、基本給以外にもさまざまな種類が存在します。それぞれが指す内容と、基本給との違いを紹介します。
手当
手当とは、基本給のほかに支払われる賃金を指します。基本給は正当な理由がないかぎり減給できないのに対し、一部の手当は会社の状況や経営方針によって見直せる点が大きな違いです。
手当には、大きく分けて「固定手当」と「変動手当」があります。
固定手当は、社員ごとに毎月一定額支払われる手当を指します。主な手当は以下のとおりです。
役職手当資格手当住宅手当(家賃手当)家族手当(扶養手当)
一方、変動手当とは、その月の労働時間や成果などによって金額が上下する手当を指し、主に以下のような手当が該当します。
時間外手当(残業手当)休日出勤手当深夜手当インセンティブ手当(業務の成果に応じて支払われる)
固定給
固定給とは、一定時間の勤務に対して決まった賃金が支払われる給与体系で、基本給と固定手当の合計金額を指します。固定給には以下のような形態があり、それぞれの単位で計算されます。
時給制(1時間単位)日給制(1日単位)月給制(1ヶ月単位)年俸制(1年単位)
月給
月給とは、基本給と固定手当を合わせた毎月固定で支払われる賃金で、1ヶ月単位で計算した場合の固定給と同じ内容を指します。
月収(額面給与・総支給額)
月収とは、総支給額(額面給与)を指します。固定手当以外にも変動手当を含むため、月や働き方によっては金額が変わります。
手取り
手取りとは、月収(額面給与・総支給額)から税金や社会保険料を差し引いたあとの、実際に受け取れる金額のことです。
月収(額面給与・総支給額)から差し引かれるものは、以下のとおりです。
税金 | 所得税 | 個人が1年間に得た所得に対してかかる税金。毎月の徴収は給与額から概算した所得税を支払い、年末調整によって正しい税額が算出され、過不足を調整する。 | 住民税 | 1月1日時点で住んでいる市区町村や都道府県に支払う税金。前年度の所得に対して課せられるため、原則、社会人1年目にはかからない。 |
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社会保険料 | 厚生年金保険料 | すべての労働者が加入する公的年金制度の保険料。 保険料は、雇用主と労働者で半分ずつ負担する。 | 健康保険料 | 労働者とその家族が加入する公的医療保険制度の保険料。社会保険適用の事業所に勤務する人が加入する健康保険(健保)と、個人事業主とその従業員、未就業者が加入する国民健康保険(国保)がある。 | 雇用保険料 | 労働者が休業や失業をしたときに、給付金を出したり就職の支援をしたりする雇用保険の保険料。保険料は、雇用主と労働者で半分ずつ負担する。 | 介護保険料 | 介護が必要になったときに、介護サービスを利用できる介護保険制度の保険料。40歳以上の人に支払いの義務がある。 |
初任給
初任給とは、新入社員が初めて受け取る賃金のことです。基本給と資格手当などの諸手当が含まれるのが一般的ですが、厳密な内容は決められておらず、会社の判断によって異なります。