男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:本命との初デートで、2軒目に誘うのはアリ?22時半に1軒目が終了した後、好印象を残すためには…
知り合いの紹介で出会い、この2ヶ月、毎週末会っていた那奈。
一緒にいると楽しくて居心地も良い。毎日連絡も取り合っていたし、言葉にはしていないが付き合っているのかとさえ思っていた。
けれども、那奈の中では違ったらしい。
いつも通り食事を終え、僕の家へやって来た那奈。水でも出そうと思ったところ、那奈はソファにも座らず突っ立っている。
「座らないの?」
「ごめん。私、裕也のこと好きだけどもうこれ以上会えない」
「……え?」
突然の那奈の言葉に、僕は持っていたコップを落としそうになった。
ハッキリと「付き合おう」と言葉にしなかったのが悪かったのだろうか。それとも、他に理由があるのだろうか。それとも他に好きな人ができたのか…。
僕はこのまま交際するのかと思っていただけに、衝撃が大き過ぎて結構落ち込んでいる。
Q1:女が積極的に動いたワケは?
那奈と出会ったのは、友人たちと遊んでいる時だった。
僕の学生時代の友人と知り合いだったらしく、友達と渋谷で飲んでいる時に合流してきた那奈。
最初から可愛いなと思っていたけれど、8人くらいの大人数だったし、僕は積極的にアプローチできなかった。
しかし、同じメンバーで再び遊ぶことになり、その時に那奈と仲良くなった。その後、グループLINEで繋がり、そこから那奈から個別で連絡が来た。
しかも那奈から誘ってきてくれて、僕たちはデートをすることになる。
初デートで、僕が予約したのは、池尻大橋にある『喜臨軒』だ。
店の雰囲気は良いし、カウンター席から料理を作る様子を見られるのも楽しい。それに料理はプリティクスで、調理方法を2人で選べるから、会話のきっかけにもなるなと思ったからこの店をチョイスした。
思ったとおり、最初にお互いの好き嫌いや好みを話し合えたため、その後の会話もスムーズだった。
「那奈ちゃんから誘ってきてくれて、嬉しかった」
「本当に?裕也くん忙しそうだったから、早めに誘おうと思って」
女性のほうから誘ってくれるのは嬉しい。好意や興味を持ってくれているという証だし、男からも積極的になれる。
「前菜の盛り合わせ」を食べながら、思わず頬が緩んでしまった。
「いやいや、全然忙しくないよ」
「そうなの?」
「那奈ちゃんのほうこそ。モテそうだし、デートのオファーとか絶対に多いでしょ」
「どうだろう。でも気になる人じゃないと、こうやって二人で食事には行かないかも」
那奈の言葉に思わず心が躍る。可愛い上にグイグイ来てくれるなんて、最高すぎる。
「ちなみに裕也くんって、どういう人がタイプなの?」
「僕は笑顔が可愛い子かな…。あと、那奈ちゃんみたいに明るい子がいいな。那奈ちゃんは?」
「私は優しくて尊敬できる人かな。一緒にいると成長できるというか」
「わかる!大事だよね」
「そうそう。仕事を頑張っていたり、何でも良いんだけど尊敬できるかどうかは大事かな」
「わかるわ〜」
二人で会うのは初めてだったけれど、かなり盛り上がった。しかも初回で恋愛観を話したことで、次のステップに進む可能性もかなり色濃く出てきた。
結局この日は2軒目まで行き、そのまま解散となったが、そこから毎日LINEする仲になる。
そして気がつけば、毎週末会うようになっていた。
Q2:「付き合おう」と言わなかったのが悪かった?
那奈と出会ってから1ヶ月くらいたった頃、お互い週末にいるのが自然になってきた。
「那奈といると、落ち着くな〜」
「そう言ってもらえると嬉しいな。私も、裕也といると楽しいし自然な感じがする」
僕は今年で29歳。那奈は28歳。年齢的にも会話の内容も合うし、お互い仕事の話も含めて何でも話せる仲だ。
それに、何も言わなくてもわかり合える心地良さもある。
お互いの家を行き来する間柄になっていたけれど、ずっと会話が続くわけでもない。双方話したい時には話すし、話す必要がない時には話さない。その塩梅が、那奈とはとても合っている。
「裕也、掃除機かけるから足どけて」
「はーい」
例えば僕がテレビゲームをし、那奈はその間に掃除をしている…なんてこともよくあったけれど、そういう関係もお互い心地良いと感じていた。
もちろん、掃除は僕も手伝うこともある。
「那奈って本当に、よく気が利くし最高だよね。いつもありがとう」
お礼もちゃんと毎回言っていたし、さすがに僕の家の掃除をさせていたわけではない。
「ひとりで暮らしているのに、なんで部屋ってすぐに汚れるんだろうね…。髪の毛とか気がついたら落ちているし、不思議だよね」
那奈は髪が長いので、大変なのだろう。
「女子は大変だね」
「男の人はいいよね。でもさ、髪の毛落ちているのか気になるでしょ?」
「まぁ気になるかもだけど…そもそも、俺たぶん人と暮らせないかも」
「え?何で?」
「何で?」と聞かれても、理由はいくつかある。
「ひとりの時間が無くなるの、辛くない?俺、そもそも結婚に向いてないと思うし」
「そうかな?裕也、意外に良いパパとかになりそうだけど」
「うーん。人と暮らすことが無理だから、パパの域まで達せられるのかどうか…」
「たしかにね。結婚する前に同棲があって、ようやく結婚ができてからの、子育てだもんね」
「そうそう」
純粋に、僕は世の中の既婚者の皆様を尊敬している。
もし仮に結婚したとしても、妻とは別々の部屋が良いので、少なくとも2LDKは欲しい。庭なんてあったら最高だ。だからこそ、都内にこだわりはなかった。
「那奈って、やっぱり港区とか渋谷区が好きなの?」
「好きというか、便利だよね。裕也は?」
「俺はね…特にこだわりがなくて。子どもが生まれたら、千葉とか神奈川辺りに引っ越しても良いかなと思ってる。そっちの方が家も広いだろうし」
「それは言えてるね。都内より、広い家には住めるよね」
こんな感じで、将来の話もしていた。
しかしこの1ヶ月後、正確にいうとデートを重ねて2ヶ月後、「付き合えない」と那奈から心のシャッターを急に下ろされてしまった。
僕たちの関係は、いい感じで進んでいたはずだ。
やはり、ちゃんと「付き合おう」と言わなかったのが悪かったのだろうか…。
▶前回:本命との初デートで、2軒目に誘うのはアリ?22時半に1軒目が終了した後、好印象を残すためには…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が「この男とは付き合えない」と思った本当の理由は?