料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目6月のテーマは、「薬味を上手に使って暑気払い」。3つのレシピを紹介します。
暑さを感じるようになったら薬味の出番。ショウガやミョウガなど和の薬味だけでなく、ハーブも気軽に取り入れて。
薬味を上手に使って暑気払い。
先生:6月といっても盛夏のような日もあるので、この時期は自分で思っている以上に体力消耗するわよね。
生徒:私ではありませんが、「早くも夏バテで食が細くなった」なんて友人もいます。
先生:そんな直子さんのお友達のような方にお勧めなのが「薬味」です。ミョウガや青ジソ、ショウガのような和の薬味は、食欲が湧かないときに元気をくれますし、今回はミントも使っているので、薬味の世界がちょっとだけ広がるかも……。
生徒:和食でミント。レベルアップしそう。
先生:では「干物と薬味の梅ごはん」から作っていきましょう。お米は30分前にといでザルにあげておいてね。これをお鍋に入れて、水と酒、昆布、梅干しをのせて炊きますよ。
生徒:お鍋の中の景色が美しいなぁ〜。
先生:梅干しも一緒に炊くことで酸味がまろやかになるんです。これポイントよ(笑)。
生徒:わわわ、さっそくメモしなくちゃ。
先生:ミョウガは縦半分に切ってから斜め薄切り。青ジソも縦半分に切って、横にくるりと巻いて細切りにすると香りが立ちます。
生徒:これまでの人生において、適当に薬味を切り続けてきましたが、改めます!
先生:干物も焼いておきます。今日はカマスを使いますが、アジの干物でもおいしいです。焼けたら骨を取り除いて、軽くほぐします。
生徒:はーい!
先生:ここまで準備できたら、「豚の竜田揚げ スダチとミント」に移りますよ〜。豚肉は3等分の長さに切って、味醂と醤油をふってよく揉み込んでおきます。シシトウは竹串でポツポツ穴をあけておいてね。
生徒:この辺りは得意の作業になります!
先生:スダチ2個は果汁を搾って、1個は薄い輪切りにします。お肉を揚げるタイミングは、ごはんを蒸らし始めた頃がちょうどいいので、空いた時間でショウガを切ります。
生徒:「ショウガのお吸いもの」ですね。
先生:皮を薄くこそいで、繊維に沿って極細切りにします。いわゆる針ショウガ。この細さが味につながるので、丁寧にね。
生徒:シンプルなお料理だけに、こういうことが味を左右するんですね。がんばります。
先生:ここまできたらできたも同然よ。だしは前の晩に仕込んでおきます。水1ℓに昆布とイリコを入れて、冷蔵庫で一晩おくだけ。手間いらずでとてもおいしいだしが出るので、忙しい人にこそお勧めです。
生徒:先生、ごはんが炊き上がりました!
先生:昆布と梅干しの種を取り除いてくださいね。それから白煎り胡麻、干物、ミョウガと青ジソを加えてよく混ぜます。このごはんは干物と梅干しの塩気だけで味付けします。
生徒:ついに肉を揚げるときがきました!
先生:豚肉に片栗粉を薄くはたいて、1枚ずつ油に入れてカリッときつね色に揚げます。シシトウは素揚げにして、どちらもよく油をきってくださいね。器に盛り合わせたら、スダチ果汁と粗塩をまわしかけます。粗めに刻んだミントと紅たでをふったら完成です。
生徒:先ほどのだし、ひと煮立ちさせました。
先生:酒と塩、ショウガを加えて1分ほど火を入れたらお吸いものも完成です。ごはんは、お客様があるときなど、おひつや飯台に盛ると、おもてなし料理の風格が出ますよ。
生徒:さっそくおひつを買いに走らなきゃ!
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1.干物と薬味の梅ごはん
縦半分に切り、横に巻いてから細切り。これを覚えるとシソを切るのが楽しい。
すべての材料を混ぜるときは、しゃもじでごはんをさっくり切るようにする。
干物と薬味の梅ごはん
〈材料〉作りやすい分量
米…2合
水…360㎖
酒…小さじ1
昆布…3㎝角
梅干し…大1個
干物(カマスなど)…1枚
ミョウガ…3個
青ジソ…6枚
白煎り胡麻…大さじ1
〈作り方〉
1.米はといでザルに30分以上あげておく。
2.鍋に1と水と酒、昆布、梅干しをのせて炊く。
3.干物は網などで焼き、骨を取り除いてほぐす。
4.ミョウガは縦半分に切り、斜め薄切りにする。青ジソは縦半分に切って横にくるりと巻いて細切りにする。
5.炊きたての2の梅干しの種と昆布を取り除き、白煎り胡麻、3と4を加えて混ぜる。