「夫婦げんかは犬も食わず」と言いますが、当の本人たちにとっては一大事であることに変わりありません。大恋愛の末に結ばれた2人も、年月を重ねるごとに不平や不満が募るようです。今回は、夫の大きな勘違いが夫婦関係を危うくさせたエピソードです。
◆口論が絶えない夫婦仲
小さなリフォーム会社を営む加藤さん(仮名・47歳)。会社といっても、従業員ゼロのいわゆる”一人親方”で、ここ数年は仕事が減ってきているという。
「世の中の景気のせいにはしたくないのですが、明らかに暇になってきていますね。妻にはもっと営業をかけて仕事を取ってくるようにと言われるのですが、そう簡単に仕事は増えないですし、景気が回復することを願うばかりです」
加藤さんの妻は、そんな状況でも毎晩決まった時間に晩酌を始め、ほろ酔い気分でテレビに夢中になる夫が許せないらしく、頻繁に口論が発生しているといいます。
◆妻の行動がなんだか怪しい
そんな中、加藤さんは、最近妻の帰りが不定期に遅くなることに不信感を抱いていたといいます。
「妻は、4年ほど前から生命保険会社でフルタイム勤務をしています。最初は『週3くらいでいいんじゃないか?』と提案していたのですが、『あなたの収入だと生活ができないの分かってる?学費もこれからたくさん必要になってくるし』と即答されて、何も反論できず今に至っているのですが、最近妻の帰りが遅くなることが多いんです」
遅くなる時は、ちゃんと夕食の支度をしているそうですが、あまりにもその頻度が増してきたので加藤さんが問いただすと「最近忙しいの」の一点張りだそうです。
「そういえば、最近なんとなく妻の態度がよそよそしくて、もともと嫉妬深いタイプの私はいろいろ詮索してしまい、妻の素行がとても気になり出しました」
◆気がつけば妻を尾行していた
加藤さんは、ますます帰りが遅くなる妻の素行に対し、とうとう堪忍袋の尾が切れた、と言います。
「一度考え出すと、妻を疑う気持ちがどんどん強くなって仕事も手がつかなくなり、とうとう妻が出かけた後に車で尾行したんです。いつものように、妻は自宅近所の停留所からバスに乗り、妻が働いている生命保険会社の近くで降りました。私もバスの後を追い、事務所が見通せる場所に車を停め、ひたすら妻が出てくるまで待ちました」
退社時間は基本的に午後5時だと聞いていた加藤さんは、そろそろ会社から出てくるかもしれないと出入り口を凝視していたそうですが、その日に限ってなかなか出てこなかったようです。
「待っている間、娘に『ママから遅くなるっていう連絡は入った?』と何気なくLINEで聞いたのですが、『とくに何も聞いていないよ』という返事でした。もうここまできたらとことん待ってやろうと思い、張り込み中の刑事のように車から出口をずっとチェックしていました」
◆衝撃的な展開と妻の逆ギレ
定時を1時間ほど過ぎた午後6時頃、ようやく加藤さんの妻が会社のエントランスに現れました。
「やっと出てきたと思ったら、上司らしき男性と会社の営業車に乗り込み、そのまま会社を後にしました。私も気づかれないように、間に車をはさみながらそのまま尾行しました。そしたら、なんとその車は数キロ先にあるラブホ街に吸い込まれて行き、ひときわネオンが眩しいその中の一軒に入庫したんです。もうほとんどパニックですよ。そのまま待つこと2時間。ラブホから営業車が出てきたので、慌てて車を発車させ営業車の前に割り込みました」
我慢の限界を超えた加藤さんは、車から降りて助手席に乗る妻に怒鳴りつけたそうです。その後すぐに、運転席の上司と思われる男性が出てきて、落ち着いた口調で「実は、こちらのオーナー様からのご依頼で、従業員の方へ向けた大口の生命保険の契約で奥さまに同行いただきました。オーナー様からは、特に来客用の駐車場がないとのことで、ご利用者と同じ入り口から入るよう指示がありまして……。余計な心配を抱かせてしまい申し訳ありません」。
その後、加藤さんの妻も車から降りてきて、加藤さんの手を引き少し車から離れたところで「あんたこそ、仕事もろくにしないで尾行なんかして。あんたの稼ぎが少ないからフルタイムで働いているんでしょ! もう無理です」と言われたそうです。
何も言えなくなった加藤さん。自分の浅はかな行動を猛省したようですが、時すでに遅しで、現在妻とは離婚に向けて協議しているとのことです。
<TEXT/ベルクちゃん>
―[ラブホの珍ハプニング]―
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営