「付き合おう」という言葉がないまま2ヶ月。28歳女が曖昧な関係に決着をつけた時、男は…

今週のテーマは「会い続けて2ヶ月。“付き合えない”と言われたワケは?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「付き合うとは言ってない…」毎週デートするけど、曖昧な関係を続ける29歳男の本音とは

裕也と会い始めてから、2ヶ月が経った。

「今日で会うのは最後にする」と決意して、私は待ち合わせ場所へ向かう。

たぶん、私は本気で彼が好きだった。だからこそ、今日で彼と会うのは最後にする。

いつも通り楽しく食事を終え、裕也の家へ行くことになった。

今がチャンスだ。

正直、食事の味も覚えていない。彼のことは好きだから、リリースするのは悲しいし、寂しくなるのはわかっている。

でも、今を逃したら、永遠に言えない気がして、私は勇気を振り絞って裕也にこう伝えた。

「ごめん。私、裕也のこと好きだけどもうこれ以上会えない」



A1:そもそもタイプだったから。



裕也とは、2ヶ月前に出会った。裕也が学生時代からの友人たちと渋谷で飲んでいたところに、私の女友達が連れていってくれたのが最初の出会いだった。

背が高くてその中でも目立っていた裕也。一目見たときから「カッコいいな」と思ったけれど、この日は大人数だったこともあり、ほとんど話さないまま終わってしまった。

しかし、後日また同じメンバーで集まることになったので、私は彼に積極的に話しかけてみた。

そのおかげで、裕也と仲良くなれたので、解散後に私から食事に誘った。

自分でも、結構頑張ったと思う。

その甲斐があったのか、初デート以降、私たちは毎週末会う関係になる。

記念すべき初デート、裕也は池尻大橋にある、面白いプリティクススタイルの広東料理店『喜臨軒』を予約してくれた。

カウンター席に並んで座り、お互いの好き嫌いなどを話しているうちに自然と会話が盛り上がる。

「那奈ちゃんから誘ってきてくれて、嬉しかった」

「本当に?裕也くん忙しそうだったから、早めに誘おうと思って」

裕也は、大手ディベロッパー勤めの29歳。ちょうど良い年頃だし、このルックスも相まってモテるに決まっている。

「いやいや、全然忙しくないよ」

「そうなの?」

「那奈ちゃんのほうこそ、可愛いしデートのオファーとか絶対に多いでしょ」

「どうだろう。でも気になる人じゃないと、こうやって二人で食事には行かないかも」

自分でも、最近変わったと思う。

恋愛に関して、前はずっと受け身だった。でも28歳になり、結婚への焦りが出てきたこともあり、自分から行動するようになった。

好きな人には、ちゃんと好きと伝えたい。良いなと思った人には、それも伝える。素直さが大事だと、最近学んだ。

だから少しでも裕也の理想のタイプに近づきたくて、豚トロが柔らかくボイルされ、口の中でとろっと溶けていく「酢豚」を食べながら色々と探りを入れてみる。

「ちなみに裕也くんって、どういう人がタイプなの?」

「僕は笑顔が可愛い子かな…。あと、那奈ちゃんみたいに明るい子がいいな。那奈ちゃんは?」

「私は優しくて尊敬できる人かな。一緒にいると成長できるというか」

「わかる!大事だよね」

「そうそう。仕事を頑張っていたり、何でも良いんだけど尊敬できるかどうかは大事かな」

「わかるわ〜」

一応、裕也のタイプには入っているようだ。

そのことが確認できて、私は少し嬉しくなった。

結局この日は、もう1軒行ったあとで解散となった。ここから毎日LINEが続き、気がつけば毎週末一緒に過ごすようになっていた。



A2:自分のことを大切に、向き合ってくれる人が良いから。



初デートから会い続け、毎週末はお互いの家を行き来する日々。裕也と一緒にいるのは楽しいし、何より私は彼が好きなので嬉しかった。

「那奈といると、落ち着くな〜」

「そう言ってもらえると嬉しいな。私も、裕也といると楽しいし自然な感じがする」

でも、1ヶ月経った頃から私の中にフツフツと疑問が湧いてくる。

「裕也、掃除機かけるから足どけて」

「はーい」

私の家のソファで、ゲームをしながらくつろぐ裕也。自分の家だし、掃除は私がするのは当然だと思っている。でも、彼の呑気な姿を見ていると、言いたいことが出てきた。

「私たちの関係性は何ですか」と。

何度も聞こうと思ったけれど、回答次第で裕也に「付き合っているわけではない」とハッキリと言われるのも怖かったし、楽しい時間を失うのも嫌だった。

そう思うとなかなか聞けない。

けれども、掃除中の会話で私はひどく傷つくことになる。

「ひとりで暮らしているのに、なんで部屋ってすぐに汚れるんだろうね…。髪の毛とか気がついたら落ちているし、不思議だよね」

「女子は大変だね」

「男の人はいいよね。でもさ、髪の毛落ちていたら気になるでしょ?」

そんな普通の会話をしている時だった。急に、裕也が爆弾を落としてきた。

「まぁ気になるかもだけど…そもそも、俺たぶん人と暮らせないかも」

「…え?何で?」

「人と暮らせない」ということは、この先もし私と正式に付き合って、同棲や結婚となったらどうなるのだろうか。

これだけでも驚いたのに、さらに裕也は致命的なことを言い始めた。

「ひとりの時間が無くなるの、辛くない?俺、そもそも結婚に向いてないと思うし」

― …どういう意味?

遠回しに、「結婚は考えられない」ということで合っていると思う。

「そうかな?裕也、意外に良いパパとかになりそうだけど」

「うーん。人と暮らすことが無理だから、パパの域まで達せられるのかどうか…」

「たしかにね。結婚する前に同棲があって、ようやく結婚ができてからの、子育てだもんね」

「そうそう」

いや、そうじゃない。問題は、今私が目の前にいるのに、堂々と「結婚は向いていない」という裕也の神経だ。

そもそも「付き合っているかどうかわからない」この関係は、裕也からすると、最高に都合が良い関係だろう。

ちゃんと彼に確認しないまま、ずるずる関係を続けてしまった私も悪い。でもデート相手が目の前にいながら、将来の話をバッサリ切る裕也に対し、怒りに似た諦めの気持ちを抱き始めた。

さらに深掘りしていくと、そもそも将来のゴールも全然違うことが発覚する。

「那奈って、やっぱり港区とか渋谷区が好きなの?」

「好きというか、便利だよね。裕也は?」

「俺はね…特にこだわりがなくて。子どもが生まれたら、千葉とか神奈川辺りに引っ越しても良いかなと思ってる。そっちの方が家も広いだろうし」

「それは言えてるね。都内より、広い家には住めるよね」

それはそう思う。でも私は、今の生活を捨てて千葉か神奈川へ引っ越せるだろうか。

それよりも裕也が私に対してハッキリと「付き合おう」と言ってこない時点で、彼の答えは出ている気がする。

本当に私のことが好きだったら、ちゃんと言ってくれるはず。何よりも、目の前で無神経に「結婚は向いていない」なんて言わない。

相手に対する思いやりと礼儀があれば、年頃の女性を目の前にしてそのセリフを言ったらどう捉えるかくらいわかるからだ。

自分を幸せにできるのは自分だけ。

ダラダラと曖昧な関係を続けるほど、無駄なことはない。私のことを大切にしてくれない、将来も考えてくれない人と一緒にいる時間はない。

一緒にいる時間は楽しいし、彼のような好条件の男性を切るのは本当にもったいないし、寂しくもなると思う。

でも思い切って、自分の明るい将来のために、私は裕也との中途半端な関係を終わらせることにした。

ハッキリさせない男と付き合っている時間があるならば、ちゃんと将来を見据えて、大事にしてくれる人と過ごす時間に費やすべきだと思うから。



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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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