『江蘇菜盒店 チアンスーツァイフーディエン』の 韭菜盒(ジョウツァイフー)。

 デパートが立ち並ぶ台北の中心部、忠孝復興駅近くの国民住宅に、ひっそりと続く昔ながらの菜盒(ツァイフー)(野菜のおやき)専門店がある。菜盒は台湾にもともとあったわけではなく、小麦粉使いの上手な外省人らによって持ち込まれた料理だ。こちらは中国大陸の江蘇省沭陽県から台湾に嫁いだ徐さんが開いた店で、味は台湾に合わせてカスタマイズしたという。看板メニューは大きなニラのおやき「韭菜盒」。中には新鮮なニラ、干しエビ、干し豆腐、春雨がたっぷり。独特な半月形は、お椀の縁を使って器用に形作られる。一般的にはよく揚げ焼きされるが、油を使わずさっぱり仕上げているのが特徴的だ。常連たちが何個もまとめ買いして朝ごはんやおやつにしているのをよく見かける。

江蘇菜盒店 チアンスーツァイフーディエン

台北市大安區忠孝東路三段216巷3弄6號(正義國宅内) 02−2771−0883 10:40〜20:00 日休 イートインスペースもあり。

※この記事は、No. 130 2024年9月号「&Taipei」に掲載されたものです。

台北在住ライター 近藤 弥生子

台北在住の編集・ライター。カルチャー界隈からオードリー・タンまで、生活者目線で取材し続ける。著書に『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(ブックマン社)、『オードリー・タン母の手記「成長戦争」自分、そして世界との和解』(KADOKAWA)がある。