あえて空気を含めた至福の生地。ひと口でいろんな食感を
お店のクレープの大きな魅力が、パリっと、もちっとした食感と、トッピングにも負けない小麦のうまみを感じる生地。こんなにも印象に残る生地は、どのような工夫で生まれるのでしょうか?
髙井さん
「使っている粉は、代表の益田と全国を回って適した製粉所を見つけ、上質な小麦を絶妙に組み合わせて作ったオリジナルのものです。クレープの生地にはバニラエッセンスを入れることが多いのですが、この店ではあえて加えず、小麦の風味を感じられるようにしています。かわりに入っているのが厳選したはちみつで、生地の美味しさと独特の食感につながっています。
他のお店よりもサラサラとした生地のため、鉄板に薄く均等に広げるには高度な技術が必要です。私も含め、焼き担当のスタッフで日々修練を重ねています。
あとは、焼き上げる際に意図的に気泡を入れるのも特徴ですね。気泡をいれることでその部分はモチモチに、それ以外の部分はサクサク、パリパリになります。
一般的には、生地の食感が変わるのは端から中心へ食べ進めるときです。ただ、うちの店では所々に気泡を入れることで、ひと口でも異なる食感を楽しんでもらえるようにしています」
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価格のベンチマークは行列のできるラーメン店!手軽に買えて、上質なものを
※ベンチマーク:物事の基準、指標を表す言葉
髙井さんの以前のお店が閉店する際に店を訪れ、その美味しさに感動して新たなクレープ店のオープンに協力することになったという益田さん。普段は国内外の企業へコンサルティングを行う益田さんは、「クレープの価格は、スターバックスさんのフラペチーノ®や、ラーメン店を参考にしています」と話します。
益田さん
「価格は、上質なものを提供しつつ、高すぎないようにしています。今のクレープは、メニューによって差があるものの、1000円前後です。
最近は1500円から2500円ほどの高級クレープもありますが、私も店長の髙井も、クレープは気軽に食べられるものであってほしい、と思っています。美味しいラーメン店では、800-1200円で大きな満足感が得られますが、学生やサラリーマンでも日常的に手が出せる金額です。
スターバックスさんのフラペチーノ®もドリンクとしては高いかもしれませんが、学生にも人気です。素材にはこだわり、高品質なものを提供しつつ、『サラリーマンや学生の方が普段でも手の出せる金額』というイメージで、この値段にしました。
髙井の前の店は非常に安かったので、その時代を知っている人からは『高くなった』『強気だ』と意見をいただくこともあります。しかし、髙井の前の店では、行列ができるにもかかわらず、価格が安すぎて財務的に破綻してしまいました。
また、働いてくれるスタッフが家族をしっかり養えるだけのお給料を支払ったり、よい素材を使ったりするためには、ある程度の価格帯にする必要があります。美味しいクレープを長くお届けするには、お店がつぶれてはいけないし、働く人たちが将来に不安を覚えるような待遇ではいけません。新店では作り手や品質のことを考えたうえで、お客様にできるだけ気軽に楽しんでもらえる価格にしています。
来年には私たちが幼少期に出会ったアラブに2号店を出すことも考えており、ドバイの現地法人はすでに立ち上げました。髙井のクレープは本当に美味しいので、世界中の人に広まってほしいですね」