こう見えて実は!
横暴新部長が血相を変えてわが家にやって来たのは、それから数時間後のこと。「悪かった、俺が間違っていた! 戻って来てください!」と玄関口で叫んでいます。つい数時間前に私を老害扱いしたくせに、なぜか大焦りの様子。
実は私は、これまでそこそこの実績と名声がある職人。息子がこの数時間で、私のこれまでの表彰歴やら作品例、個展の写真記事、手掛けた鉄器の貴重さや値段などを資料にまとめてくれ、あの新部長に送り付けたのです。
家の奥から出てきた息子は、手にタブレットを持っていました。そしてなんと入院中の社長と、テレビ電話でつながっていたのです。
「どういうことだ。あろうことか唯一無二の技術を有するわが社の職人たちを見下し、休憩もさせないだと? それだけじゃない、社長代理の権限を悪用して経費を使い込んだこともわかった! どの面下げて出社するつもりだ?」
こうして、横領行為まで発覚した新部長は会社を自ら去りました。一方、社長に平謝りされた私は、今まで通り職人として伝統的な鉄器づくりに精を出し、若手の育成のために日々働いています。
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匠の技を持つ先人に敬意を示さず、ひどい言葉で追い出そうとするなんて言語道断ですね。やはり社長は老職人の価値をわかっていました。これからも人間国宝として元気で活躍し、素晴らしい鉄器を作り続けてほしいですね。
著者/ウーマンカレンダー編集室/スカッと
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