今年、CDデビュー10周年を迎えたWEST.。その節目を記念したドームツアー「WEST.DOME TOUR AWARD~10th Anniversary~」の最終地となる東京ドーム公演(8月29日~31日)を開催した。大阪、福岡を含む3都市8公演で38万人を動員した10周年の祭典を7人で完走した。
29日の初日。開演前に行われた会見には、中間淳太・神山智洋・藤井流星・重岡大毅・小瀧望・濵田崇裕・桐山照史が出席した。
10年の振り返りを聞かれた中間は、「デビューしたときは小瀧が高校生だったんで、高校卒業するときと成人迎えたときはめっちゃ覚えてますね。年も(8つ)離れてたし、末っ子なんで」と話すと、小瀧も「出席日数とかギリギリで卒業しましたね。デビューしたときは年間の3分の1ぐらいは舞台をやってたんで、夜行バスで帰ったりして大変でした」と懐かしんだ。
重岡は、「もう戦友というか、仲間というか、素敵な腐れ縁。途中でグループの名前は変わりましたけど本質は変わってない。これからも自分らが楽しそうなことを大事にしてやっていきたい」と意気込んだ。
迎えた公演では、幕が上がる前から会場に流れる「ええじゃないか」のBGMにあわせて、カラオケのようにファンが大合唱。WEST.の登場を待ち構える。10年の軌跡を振り返るVTRが終わると、ステージに7人のシルエットが映し出されて、「いくぞ、東京!」と重岡が叫ぶ。人差し指と小指を立てるメロイック・サインで会場が一体となる「証拠」で、ライブがスタートした。
1曲目から会場に集まった5万5000人から大歓声を受ける7人。台風10号の影響で開催も危ぶまれた。小瀧は「今日はマジで来てくれてありがとう! 俺たちが見たかった景色を見せてくれてありがとう! 超満員のペンライトが揺れる東京ドームでライブができて幸せです!」と目に涙を浮かべた。続いて、ステージに音玉が鳴り響くなか「AWARD」へ。「きみへのメロディー」では、メンバーカラーのペンライトで会場が7色に染まった。
また、WEST.のコンサートでは珍しいユニットコーナーも展開。歴代のアルバムに収録されたユニット曲から、人気の曲を披露する“ユニット曲アワード”をメドレーで披露した。「ONI-CHAN」(中間・藤井)、「乗り越しラブストーリー」(重岡・桐山)、「GOD DAMN」(神山・濵田)、「Terrible」(藤井・小瀧)、「Lovely Xmas」(重岡・神山)をコントのような掛け合いで繫いでファンを盛り上げた。
MCでは、約10年半ぶりとなる大阪・松竹座公演が発表されると、会場が驚きでどよめいた。同地は、デビュー前から公演を重ねてきたWEST.にとって思い入れの深い場所。神山は、「7人揃って育ててもらった場所に久々に凱旋できるのは嬉しいね」と話すと、重岡も「1つの集大成になることは間違いない」と気合いを入れ直した。
ライブは後半戦へ。最新曲「まあいっか!」から、10周年を記念した制作した楽曲「・(Ten)」をアコースティックで奏でる。ほかにも、「ええじゃないか」から「しあわせの花」まで、10年間でリリースした12枚のシングルをメドレーで披露。それぞれの楽曲のミュージックビデオをバックに、ド派手なお祭り仕様のフロートに乗りながら歌唱した。
そして、WEST.では定番となったバンドを背負ってメンバーたちが熱唱するパートへと思いを繫いでいく。楽曲投票で1位、2位に選ばれた「アンジョーヤリーナ」や「間違っちゃいない。」に加えて、重岡が作詞作曲した「超きっと大丈夫」など会場のボルテージは最高潮に。曲中にファンの大合唱が起こるなかで、重岡は「俺たちの10年、どうだった? メンバー誰一人も欠けずにやってきたぞ!」と絶叫すると会場から拍手が起こる。その反応に何度も頷いて、「いつもいつも俺たちの幸せを願ってくれてありがとう! 俺たちもいつも願っています!」と感謝を伝えた。
桐山は、10年は1つの通過点と前置きしたうえで「こうやって10周年を祝ってくれて嬉しいんやけど、今日はもっともっと先の見えるライブになったんじゃないかな。この先がどういうふうになるのかわからないけど、俺はさらに10年先が見えた気がしました!」とコメント。藤井も「最高の7人と、最高のみなさんと10周年を迎えられて本当によかったです。これからもWEST.という7人のグループを一緒にバカなことをやって、これからも楽しい空間を作っていきたいと思っています」と頭を下げた。
アンコールでは、10年の感謝を込めてファンから「サムシング・ニュー」の合唱が起きるという逆サプライズ。驚いてステージに飛び出してくる7人。濵田は、「着替えたら音楽が鳴りだして、『これなんですか?』って聞いたら、スタッフさんから『愛されてる証拠です』って」と笑顔を見せた。ラストの楽曲「あかさたなららら」間奏では、メンバーからファンに向けて「ありがとう」の気持ちを直筆でメッセージボードにしたためた。全43曲、3時間を超えるコンサートに幕を下ろした。
7人がこの先に見据えている大きなAWARDに向けて躍動する姿を今後も期待したい。
取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧