社内プレゼンで「成功すればこんなにメリットがあります」はNG。嫌なツッコミを回避できる、ひろゆきが考える“ズルい”言いまわし

仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。

◆社内プレゼンに説得力を出す一言

社内プレゼンで自分のアイデアに説得力を出したい。しかし、実現不可能な大風呂敷を広げると、失敗したときのダメージも大きい。嫌なツッコミを回避しつつ、相手をノリ気にさせる「ひろゆき流プレゼン」の言葉選びとは?

× 成功すればこんなにメリットがあります

◎ 失敗するリスクも想定済みです

◆ “夢物語”は誰にでも書けるので、うまくリスクを伝えるのがカギ

説得力を出す方法はたくさんあります。例えば、プレゼンの上級者だと話し方や立ち居振る舞いで説得力を醸し出します。ほかにも詐欺師みたいな人が取る手法だと、上等な服を着て有名人との繫がりをアピールしたり、裏づけが難しい謎の実績を主張して説得力を出すパターンがあったり。

ただ、どれも素人が安易にマネすると、ツッコまれて痛い目に遭いかねないのでイバラの道です。

一方で、説得力がないプレゼンの代表格が、「失敗が想定されてないプレゼン」です。「成功したらこんなメリットがあります」といった“夢物語”は誰にでも書けます。しかし、リスクが考慮されていないと、「子供が書いたのかな?」と、疑問ばかり湧いて説得力が一気になくなるのです。

では、素人でも説得力を出すにはどうすればいいのか。必要なのは、「数字とその根拠となる要素を示すこと」と、「ネガティブな情報も伝えること」です。

プレゼンではパワーポイントなどの資料を使って説明することが多いです。その資料の1枚目には数字と根拠を書きます。例えば「実施すれば約1億円の売り上げが見込めます。なぜならテスト販売での結果がこうだったからです」といった具合ですね。

重要なのは2枚目です。ここには相手がツッコんできそうな要素を書いておきます。そして、「こういった意見も想定されますが、補足資料はこちらです」と伝える。

この“先手”を打つだけで、聞き手の反論を想定済みだと見せることができます。結果的に、「こいつ、ちゃんと考えているな……」と相手に思わせるテクニックです。

ただ、新しいアイデアには不確定要素も多いです。1枚目の売り上げ見込みの数字を達成するための根拠や、ツッコミを覆すための根拠が弱いパターンもあります。

そういうときは、仮に失敗をしても痛手ではないこと――例えば、その事業にかかるコストの低さをアピールする手があります。

「もし大失敗しても、ダメージはコスト分だけなので大きくない」

そう伝えて、「痛手が少ないなら、挑戦してもいいんじゃないかな?」と思わせる手法です。

ほかにも、「失敗しても取引先との友好関係は強固になります」と利益以外のプラス要素を挙げて、ただの損失で終わらないという“保険”を用意する手もありますね。

いずれにせよ、成功よりも失敗するリスクをうまく伝えるほうが、逆に相手が動いたりしますよ。

構成/杉原光徳(ミドルマン)

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』