薬膳の知恵できれいに。今回はうるおい食材をたっぷり使った乾燥対策に効果的なレシピをご紹介。レシピは、梨とクレソンの白和えです。
季節の変わり目になると、「お化粧のノリが悪い。肌の調子が乱れる」と、感じる方が多いのではないでしょうか? このように、肌が不安定で敏感になっている状態のことを、最近は「ゆらぎ肌」と、表現しています。
日本では、年に大きく4回季節の変わり目がありますが、冬から春になる季節の変わり目が人間のからだにとって、いちばん大きく負担を感じる時季です。しかし、夏から秋、秋から冬への変わり目も、私たちが感じている以上に、からだはストレスを受けているのです。
健康な肌には防衛機能が備わっています。例えば、夏には紫外線から守るためにメランニンの分泌量を増やしたり、角質を厚くしたりします。からだが健康な状態であれば、肌のターンオーバーが正常に行われ、メラニンや角質は垢(あか)と共に体外へ排出されます。
ターンオーバーの周期は約28日ですが、年齢とともに日数がかかるようになり、42〜56日かかることもあるといわれます。こうしてターンオーバーが乱れると、肌荒れやシミ、くすみの原因、秋のゆらぎ肌の原因となってしまいます。
ターンオーバーが乱れる主な原因は、生活習慣と乾燥。寝不足、運動不足、便秘、食生活の乱れ、ストレスなどの生活習慣の改善はもちろん、乾燥対策を行うことが大切です。
前回もお話ししましたが、秋になり空気が乾燥すると、体の細胞の水分が失われ、肺、胃腸、皮膚の機能が低下してしまいます。このような、乾燥によって起こる病気の原因を中医学では「燥邪(そうじゃ)」といいます。
ターンオーバーの乱れは中医学的には燥邪による病気のひとつ。そのまま放置するとゆらぎ肌から肌の老化へ一直線。この時季に燥邪対策をするうるおい薬膳食材は、百合根、梨、白胡麻、ヨーグルト、豆乳、豆腐などの「白い食材」です。
今回ご紹介するのは、うるおい食材をたっぷり使った梨とクレソンの白和えです。
今月のレシピ
梨とクレソンの白和え
<材料>(2人分)
木綿豆腐……1/2丁
梨(小)……1/2個
クレソン……1束
A
白練りごま……小さじ2
砂糖、しょうゆ……各小さじ1
塩……小さじ2/3
作り方
❶豆腐はキッチンペーパーなどに包み、水切りをする。梨は縦4等分、幅5mmに切る。クレソンは長さ1cmに切る。
❷豆腐をボウルに入れ、フォークの背などで潰す。Aを加えて混ぜ合わせる。
❸ ❷に梨、クレソンを入れて和える。
火を使わずに簡単にできるので、残暑が厳しい日でも気軽に作ることができる1品です。ステーキの添え物的存在のクレソンは、からだの熱を取り、解毒作用、気の流れにも有効な優秀食材です。添え物としてだけではなく、おひたしにするのもおすすめです。
橋本加名子(はしもと かなこ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』ほか著書多数。新刊『アイラップで簡単レシピ: おうちごはんの大革命!』が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC