今も昔も、多くの人を虜にしているスイーツ・パフェ。わずか5日から1週間ほどしか販売されず、しかも各時間の定員は4人まで…。そんな貴重なパフェを提供するのが、南砂町にある「KUNON Baking Factory」です。

現地に足を運んで選ぶフルーツとスパイスを使い、パフェのクランブルひとつまで作り置きせず毎朝焼き上げる…。極限まで魅力にこだわる女店主が作る、絶品のパフェを紹介します。

今は完全不定期営業。大人気の焼き菓子&パフェの店

お店があるのは、南砂町駅から徒歩17分ほどの住宅地の中。現在は完全不定期の営業で、オープン日には入口に看板が飾られます。


店主の久野 綾乃(くの あやの)さん

温かな笑顔で迎えてくれたのは、店主の久野 綾乃(くの あやの)さん。2019年のオープン以降、久野さんが焼き菓子を中心にひとりでお菓子を作り続け、お店はあっという間に行列ができるように。

出産と育児をきっかけに不定期営業に変わった後は、パフェや焼き菓子で多くの人の心を射止めています。

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フルーツと焼き菓子、どちらも楽しめる「季節のパフェ」


「2種の無花果(イチジク)とスパイスのパフェ」

今回味わったのは、9月10日から10月頭にかけて提供される『2種の無花果(イチジク)とスパイスのパフェ』。久野さんが農家や販売企業まで足を運んで選んだ、静岡県産のイチジクと各国のスパイスを使ったスイーツです。

「お店のパフェにはいつも、“裏テーマ”も設けているんです」と話す久野さん。今回の裏テーマは、赤い木の実のジャムとスパイスを使ったオーストリアの伝統的なタルト菓子・リンツァートルテです。

今回使っているイチジクの一種・ブルジャソットグリースは、ラズベリーのような豊かな甘みと酸味のある品種。それを使ったソルベとアーモンドミルクアイスの組み合わせは、リンツァートルテの材料としてラズベリーやアーモンドを使う頻度が多いことから連想したのだそう。パフェの上にのっているタルトも、その裏テーマを表現しています。

グラスの中には、2種のアイスに加えて、イチジクの果肉やカカオのクランブル、洋梨のムースなどが。コクのあるアイスと甘酸っぱいソルベ、香ばしいクランブルと柔らかなムースは、味はもちろん、食感の相性も絶妙です。

スパイスでは、アイスにはクローブ、クランブルにはバタックペッパー(山椒)を使用。ほのかなスパイスの刺激によって、フルーツやそれぞれの素材の味わいをより豊かに感じられます。

上にのっていたタルト「タルトリンツァー」は、小麦の風味豊かな生地と、濃厚な甘さのイチジクのハーモニーを楽しめる至福の味わい。砂糖や香料なし、カカオ100%で作られたチョコレートを使ったクリームはフルーティーで、焼き菓子にどこかフレッシュな風味が添えられています。

そして、パフェと同じくらい、もしかしたらそれ以上に印象に残るのが、パフェを待つ間に出される季節のマドレーヌ。マドレーヌもパフェに合わせて変わり、今回の生地の中には小さくカットされたイチジクが入っています。

マドレーヌはしっかり厚みがあるのに、驚くほどしっとりしていて口溶け抜群。毎回焼きたてを出しているという温かい生地からは、じゅわっとバターのうまみも広がります。イチジクのジューシーな甘みもあわさって、このお菓子だけのために訪れたくなるような絶品さ。

お店ではペアリングのドリンクも提供され、お客さんはパフェを作る久野さんが話す今回のパフェの構成やテーマの種明かしを聞きながら、焼き菓子のティータイムを楽しめるそう。ドリンクも季節で変化し、今回はイチジクの葉を使ったお茶を味わいました。