ヴァッハウ独自の格付けで高品質ワインを保護
オーストリアの各DAC(原産地呼称制度)のワインは、ブドウ生産地の限定性に基づき、3段階の格付けが適用される。下から、地域単位のゲビーツヴァイン、村単位のオーツヴァイン、畑単位のリーデンヴァインとなっている。
さらに、ヴァッハウ地区には、この格付けより先立って制定された独自の格付けが存在する。高品質のワインを保護育成するため、1983年に「ヴィネア・ヴァッハウ・ノビリス・ディストリクトゥス」という協会を創設。毎年ワインを試飲し、三つの格付けに分類する。
「国内消費向けのシュタインフェーダーは、時に品種個性が際立たないこともありますが、親しみやすいワインです。その上のフェーダーシュピールは、エレガンスとフィネスを備えたミディアムボディのワイン。最上級のスマラクトは、より凝縮感を感じられます。若いうちは果実のフレッシュさが楽しめ、10~15年程度の熟成のポテンシャルもあります」とホーヴァース氏。
『リースリング スマラクト・リード・アッハライテン 2022年』(税込価格:6600円)は、みずみずしい果実味としっかりとしたミネラル感が特徴の1本だ。スマラクトのワインには、微量の酸素を取り込んでより複雑な味わいにする目的で、30年以上使用した2000リットルの古樽を用いることもあるという。
ドメーヌ・ヴァッハウは、伝統的な造りだけでなく、新たなスタイルにもチャレンジしている。『グリューナー・ヴェルトリーナー オレンジ・コンタクト 2022年』(税込価格:3080円)はその一つで、平均樹齢約50年のブドウから造られるオレンジワインだ。除梗後、果皮とともに1週間発酵。数カ月間のシュール・リー(*)を経て、無ろ過で瓶詰めされる。果実味はフレッシュで生き生きとしており、後味はジューシー。
ローマン・ホーヴァース氏のドメーヌ参画から20年、世界的に評価されるようになった「ドメーヌ・ヴァッハウ」のワインをぜひ味わってほしい。
*発酵後、オリを取り除かずにそのまま春まで置き、上澄みを瓶詰めする製法
ワインの問い合わせ先:エノテカ㈱ TEL. 0120-81-3634