私は、精密機器を製造している工場に20年勤務中。丁寧に仕事をすることをモットーにしていました。職場で知り合い結婚退職した妻ともども、先代の社長から仲良くしてもらっていたのですが、新社長とは考え方が合わず……。その経営方針に反対したところ、突然解雇されてしまいました。
勤続20年
私は、とある機械工場で20年も働いてきました。自分で言うのも気恥ずかしいですが、私の技術力に憧れて入社してくる社員もいるほど、重要な工程を担わせてもらっています。
ところが先日、残念なことに懇意にしてくれていた社長が亡くなり、工場の経営はその息子が担うことに。しかし彼は、40代になるまでまともに働いたことがないらしく、右も左もわからない人物が継承したことに不満を抱いている従業員はたくさんいるようでした。
ある日、私がいつものように作業をしていると、新社長が「チンタラ働きやがって……。もっとスピードを上げろ!」と怒鳴ってきました。
彼は品質よりもスピードを重視。私や年輩社員とは正反対の考え方でした。やんわりと、「スピードを上げると品質に問題が……」と伝えると、「誰に口をきいている? 俺がやれって言っているんだから、さっさとやれ!」とさらに怒声を上げたのでした。
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残業代は支払わない!?
その後も生産スピードを上げ、製品を増産するように命じてくる新社長。一方で、自社の製品に誇りを持っている私たち社員は、品質を落とすようなことは絶対にしたくありませんでした。
品質を維持しつつ増産しようとすると、どうしても残業が増加。限界に届きつつある疲労を押して、社員一同頑張って製造を続けていたのに、こともあろうか新社長は、「せっかく増産しても残業代を払っていたら儲けにならん! 残業代は一銭も払わないぞ!」とまさかの発言をしたのです。
私はこの暴言に我慢の限界。「そんな仕事をしたらお客さまを失います! 社員だって、疲労困ぱいで働いているのに賃金が出ないなんてあり得ません。先代が品質に妥協せず、他よりいい物を納品したから今があるんです!」と反論すると……。新社長は「お前みたいな勤続年数ばかり長くて使えない社員は無用!」と逆ギレし、私に解雇を言い渡しました。